カナダの銀行最大手ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のデーブ・マッケイ最高経営責任者(CEO)は23日、米政権が外国人専門技術者向け就労ビザ「H-1Bビザ」の新規申請に高額手数料を課したことについて、カナダにとって高度技術人材を呼び込む「大きな好機」になるとの見方を示した。

  同ビザの新規申請手数料が10万ドル(約1480万円)に引き上げられたことで、米テクノロジー企業の海外人材採用は一段と難しくなる見込みだ。マッケイ氏はインタビューで、カナダはこの好機を生かし、イノベーション分野のさらなる成長につなげるべきだと語った。

Royal Bank Of Canada CEO Dave McKay Speaks At The Canadian Club

RBCのデーブ・マッケイCEO

Photographer: Galit Rodan/Bloomberg

  カナダの大学は毎年数千人の留学生を受け入れているが、優秀な人材の多くは卒業後にシリコンバレーなど米国のテクノロジーハブへと流出している。マッケイ氏は、新たなH-1B規制はカナダが優秀な学生をつなぎ留めるのに寄与するほか、新たな人材を獲得しやすくなるだろうと指摘。

  「インドや南アジア、欧州から『米国には行けないが北米には行きたい。カナダに行こう』という動きが出る。米国のルールが変わらなければ、カナダには大きな好機になる」と説明した。

  さらに同氏は、カナダ政府が起業家向け減税や煩雑な規制の見直しを通じて、事業を立ち上げ、拡大する環境をより魅力的にすることでこうした動きを後押しできると主張。「今は人材がカナダに定着し、さらに新たな人材が流入し得る長期的な好機だ。だからこそ適切な税制と、資本を投じて事業を拡大できる仕組みが必要だ」とした。

  RBCはカナダ国内で7万人超を雇用しているが、米国にも大きな事業基盤を持つ。資本市場部門やウェルスマネジメント事業に加え、ロサンゼルスには傘下シティ・ナショナル・バンクが本拠を構えており、7月末時点で米国の従業員数は約1万7000人に達する。

  マッケイ氏は、H-1Bビザのルール変更により企業は欧州やカナダから米国に社員を移すかどうかの費用対効果分析をやり直す可能性が高いと指摘。「資本市場や資産運用の優秀なバンカーなら10万ドルをかけても元は取れるので米国に移すだろう。ただ、元が取れるかどうかぎりぎりの従業員については移さないかもしれない」と述べた。

原題:RBC CEO Says US Visa Fee Gives Canada Chance to Grab Tech Talent(抜粋)

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