ニュージーランドのビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)は8月21日、2025年版のエネルギー年次報告書「Energy in New Zealand 2025」を公表し、2024年の一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギー比率が45.5%となり過去最高を記録したと発表した。
(出典:MBIE)
報告書によれば、2024年に再生可能エネルギー発電容量は556MW増加し、2020年比で17%増の1262MWに達した。一方で電力全体に占める再生可能エネルギーの割合は85.5%と、2023年の88.1%からやや低下した。これは乾燥期における水力発電の減少や、需要ピーク時に火力発電所が稼働したことが影響している。
部門別では、食品加工業の電力使用が引き続き増加した一方、産業部門全体の需要減少により総エネルギー消費は2.1%減少し、524.8PJとなった。天然ガスの消費は2011年以来の最低水準に落ち込み、国内供給は油田の枯渇やガス生産量の減少が背景にある。
航空燃料については国内外の輸送需要が回復し、使用量はCOVID-19以前の水準の90%に達した。石油製品は、国内唯一のマースデン・ポイント製油所が閉鎖されたことから、現在は全量を輸入に依存している。国内で生産される原油は依然として大部分が輸出されている。
さらに、ニュージーランドには150億tを超える石炭資源が存在し、その約80%は南島の褐炭である。加えて、両島には亜瀝青炭や南島西海岸を中心とする瀝青炭も確認されているが、脱炭素化の流れにより利用は限定的となっている。
MBIEは、今回の報告書が示すように、再生可能エネルギーの拡大と化石燃料依存の低下という二つの潮流が同時に進んでいると指摘した。同省は、今後も水力、地熱、風力をはじめとする再生可能電源の導入拡大と供給安定化を進め、気候変動対策とエネルギー安全保障の両立を図る方針を示している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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