米が非核化の主張やめれば対話避ける理由ない─金総書記=KCNA

 9月21日、北朝鮮は最高人民会議を開催した。金正恩朝鮮労働党総書記(写真)は、米国が非核化の主張を放棄すれば、対話を避ける理由はないと述べた。9月3日、北京で撮影。KCNA提供(2025年 ロイター)

[ソウル 22日 ロイター] – 北朝鮮は21日に最高人民会議を開催した。金正恩朝鮮労働党総書記は、米国が非核化の主張を放棄すれば、対話を避ける理由はないと述べた。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が22日に伝えた。

金氏はまた、トランプ米大統領を今でも懐かしく思っていると会議で述べたという。両首脳はトランプ氏の1期目に3回会談している。

KCNAによると、金氏は「米国が北朝鮮の非核化という不条理な執着を捨て、現実を受け入れ、真の平和共存を望むのであれば、われわれが米国と対話しない理由はない」と述べた。

米スティムソン・センターの北朝鮮専門家レイチェル・ミニョン・リー氏は、金氏がトランプ氏を名指ししたのは1月の大統領就任以降で初めてだと指摘した。「これは提案だ。金氏はトランプ氏に対し、非核化政策の見直しを求めている。もし米国が非核化(の要求)を取り下げれば、トランプ氏と直接対話する用意があることを示唆している」との見方を示した。

金氏はまた、米国と韓国からの重大な脅威に直面し、自国の安全を守るために核兵器を製造することは、国家の存亡に関わる問題だと語った。

米国と韓国からの最近の対話の申し出について、北朝鮮を弱体化させ、同国の体制を崩壊させるという基本的な意図に変わりはないため、不誠実なものとして拒否すると述べた。

北朝鮮の核開発計画を段階的に終了させるという韓国の提案がその証拠だと指摘。「米国が核兵器を放棄させ、軍縮させた後に何をするかを世界はすでに十分に知っている。われわれは決して核兵器を放棄しない」と明言した。制裁は「学習経験」となり、北朝鮮をより強く、より強靭にするものだと述べた。

韓国の李在明大統領は6月の就任以来、北朝鮮との対話が必要だとして和平に向けた働きかけを行っており、信頼を築き、最終的に北朝鮮の核計画を終わらせる措置を提案している。

李氏はロイターのインタビューで、北朝鮮との対話再開には大きな障害があるとしつつ、北朝鮮の核開発プログラム解体に向けた段階的アプローチが依然として現実的な選択肢だという考えを示した。

李氏はまた、北朝鮮を再び対話のテーブルに着かせるには適切な条件を整える必要があり、その取り組みにおいてトランプ大統領が重要な役割を担っているという認識を示した。

北朝鮮が年間15─20個の核爆弾を製造しているとの見方を示し、製造凍結で合意できれば、核計画を最終的かつ完全に廃止するための有益な一歩となるとの見解を示した。

「これを基に、核兵器削減に向けた中期的交渉に進むことができる。長期的には相互信頼が回復し、北朝鮮の体制・安全保障上の懸念が軽減されれば、非核化を追求できる」と語った。

しかし、スティムソン・センターのリー氏は金氏の発言について、韓国を交渉から除外することが狙いのようだと述べた。「韓国が北朝鮮核問題の当事者にはなり得ないと繰り返し強調することで、トランプ政権に韓国との協力を思いとどまらせようとしているのだろう」と分析した。

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