フィッチ・レーティングスは19日、イタリアの格付けを引き上げた。フィッチによる格上げは2021年以来で、メローニ政権による赤字削減の取り組みが評価された。
19日の発表資料によると、フィッチはイタリアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を1段階引き上げ、「BBB+」とした。格付け見通しは「安定的」としている。
フィッチは「格上げはイタリアの財政軌道に対する信頼感の高まりを反映するものだ。欧州連合(EU)の新たな財政枠組みの下での財政規律の実績拡大と、短・中期の財政目標達成への強いコミットメントによって裏付けられている」と評価。「安定した政治環境、継続的な改革の勢い、対外不均衡の縮小がイタリアの信用指標をさらに強くしている」とした。
フィッチは12日にフランスの格付けを引き下げており、欧州の主要借入国の間で形勢が逆転しつつある。財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑える取り組みをめぐってフランスが政治的混乱に直面しているのに対し、イタリアは来年にもこのEU財政基準を達成できる見通しであり、メローニ政権下で安定を享受している。
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かつてユーロ圏の主要国で最も脆弱(ぜいじゃく)と見なされ、頻繁に政権交代を繰り返してきた過去からは大きな変化だ。
ジョルジェッティ経済財務相はフィッチの発表後、「われわれはイタリアを正しい道に戻した」とコメント。「多くの研究、そして真剣かつ地道な努力」の成果だとした。
フィッチの格上げは、赤字削減の公約を守るとしたイタリア政府の計画が成功するとの前提に基づいている。当局者は現在、来年の目標を盛り込んだ予算案を準備中であり、月末までにメローニ首相の内閣から承認を得ることを目指している。
イタリアに対する投資家の見方も大きく変わりつつある。イタリア10年国債と同年限のドイツ国債の利回り格差は80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を下回り、メローニ首相が就任した22年当時の3分の1未満となっている。
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原題:Italy Gets First Fitch Upgrade Since 2021 in Reward for Meloni(抜粋)
— 取材協力 James Hirai
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