バルト3国のエストニア政府は19日、ロシア軍のミグ31戦闘機3機が約12分間にわたって同国領空を侵犯したと発表した。写真は4月撮影のツァクナ外相(2025年 ロイター/Thomas Traasdahl via REUTERS)
[ワシントン/ビリニュス/ブリュッセル/ワルシャワ 19日 ロイター] – バルト3国のエストニアは19日、ロシアのミグ31戦闘機3機が12分間にわたり領空を侵犯したと発表した。エストニアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国。NATOはイタリア空軍のF35戦闘機を緊急発進させ対応した。NATO東部では10日にポーランドにロシアのドローン(無人機)が侵入しており、欧州連合(EU)はロシアによる領空侵犯への「共同対応」について、来月にコペンハーゲンで開く首脳会議で協議する。
ロシア軍機はNATO領空内に約9キロ侵入。欧州当局者によると、エストニアはNATO条約第4条に基づく協議の開催を要請することを検討している。
エストニアのツァクナ外相は「ロシアは今年すでに4回エストニア領空を侵犯しており、それ自体容認できない」とし、この日のロシア戦闘機による領空侵犯は「前例のないほど挑発的」と非難。「ロシアが国境を試し、攻撃的な姿勢をエスカレートさせていることに対し、政治的、経済的圧力を迅速に強めて対処しなければならない」と述べた。
エストニア政府は、在エストニアのロシア上級外交官を呼び出し抗議。NATO報道官は、ロシア軍機によるエストニア領空侵犯にNATOが直ちに対応したと表明した上で、NATOの対応能力を試す「ロシアの無謀な行動の新たな例」と非難した。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は、ロシア軍機によるエストニア領空侵犯は
「偶発的なものではない」と指摘。
EUのコスタ大統領も「容認できない挑発」と非難した上で、「欧州東部の防衛強化のほか、ロシアに対する圧力を一段と強化することが急務になっていることが、改めて浮き彫りになった」と述べた。
エストニア軍によると、ロシア軍機による領空侵犯は首都タリンから約100キロの距離にあるバインドロー島周辺で発生。当該機は飛行計画を提出しておらず、航空管制とも交信していなかった。ロシア機によるバインドロー島周辺での領空侵犯は比較的よくあるが、この日のように長時間に及ぶことは通常ないという。
ロシア軍機はロシア本土と飛び地カリーニングラードの間にあるバルト海の上空を日常的に飛行。この日のエストニア領空侵犯についてロシア国防省からコメントは得られていない。米国のホワイトハウスと国務省からも今のところコメントは得られていない。
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