2025年4月2日(水)、京都市と滋賀県の間で“ある契約”が結ばれました。その契約内容は、『京都市が滋賀県に年間2億3000万円支払う』というもの。その訳は、琵琶湖の水です。一体なぜ、自然が生み出す琵琶湖の水に、毎年京都市は巨額マネーを支払うことになったのか?京都市民・滋賀県民の心の声とは―。

■『感謝金2億3000万円』に対する京都市民と滋賀県民の本音が明らかに


総延長30kmに及ぶ運河『琵琶湖疏水』

 滋賀・大津市から総延長30kmに及ぶ運河『琵琶湖疏水(そすい)』を通じ、京都市内へ流れている琵琶湖の水。京都市の水道水の実に99%をまかなっているため、京都市は滋賀県による琵琶湖の保全に対して感謝の気持ちを込め、毎年感謝金を支払っています。


京都市民の思いは―

 『2億3000万円』という金額について、京都市民はどのように感じているのか、聞いてみると…。

Q.毎年お金を払っているのは知っていましたか?
(京都市民・20代)
「知らなかったです。ちょっと高く感じちゃいますね」

(京都市民・高校3年生)
「高いですね。でも、貰っているのに、文句は言えないですよね。鴨川から水を取っていないので。琵琶湖疏水からみんな流れて、松ヶ崎・蹴上(けあげ)・新山科(しんやましな)で浄水して、市民が使っているわけなので」


滋賀県民の本音は―

 一方、滋賀県民からは、「水を使わせてあげている」「感謝金は2億円でも安い」との意見も…。

Q.“水を使わせてあげている”という感覚は、ありますか?
(滋賀県民・40代)
「みんな言ってはる気がする、“京都の人らに使わせてあげている”みたいな感じ(笑)」

Q.『感謝金』安いか高いか…?
(滋賀県民・50代)
「あー、意外と安いねんなと思っていました(笑)もっと高くてもいいんちがうかな~って。感謝やからね、そんな値段とかは、あれなんですけど…安いかな~って(笑)」

 滋賀県民が、そこまで強気である理由。その背景には、両者を巡る長い歴史が―。

■『禁門の変』きっかけに衰退も…琵琶湖疏水が京都を救った?


衰退する京都に再び光を…

 時は1864年、京都御所を舞台とした長州藩と幕府連合軍の戦い『禁門の変』。この戦いで火の手が回り、京都市内の3分の2が焼失。その4年後には天皇が京都を去り、人口も激減。活気を失った京都が再び輝きを取り戻すために、当時の京都府知事が目をつけたのが、琵琶湖の水でした。


琵琶湖の水が京都を救った?

 琵琶湖から京都市内へ水を引く運河を作るため、測量・設計・施工まで全て日本人が手掛けた、日本初の壮大なプロジェクト。5年に及ぶ工事期間で延べ400万人の作業員が動員され、1890年(明治23年)、ついに琵琶湖疏水が完成。水力発電所も開業し、衰退していた産業も復興へと向かっていきました。つまり、「琵琶湖の水が京都を救った」と言っても過言ではないのです。

■「びわ湖の水、止めたろか」プライドとライバル心から生まれた決めゼリフ しかし、滋賀県民に悲しいお知らせが…


滋賀県民の決めゼリフ「琵琶湖の水、止めたろか」

 そんな滋賀県民のプライドから生まれたのが、滋賀県民の京都や大阪に対するライバル心をむき出しにした、この決めゼリフ―。

『琵琶湖の水、止めたろか』


滋賀県民と京都市民は冗談で言い合う

(滋賀県民・50代)
「あー!よく冗談で言ったり、言われたり」

(滋賀県民・50代)
「高校生のときとかに、冗談半分で。まぁみんな、冗談で普通に言っているんじゃないですか」


『琵琶湖の水止めたろか音頭』なる曲まで

 驚くべきは、こんな曲まで―。

♪『琵琶湖の水止めたろか音頭』/東狂アルゴリズム
「止めたろか 止めたろか 琵琶湖の水 止めたろか」

 バンドメンバーの半数が滋賀県出身の『東狂アルゴリズム』による、『琵琶湖の水止めたろか音頭』。

♪『琵琶湖の水止めたろか音頭』/東狂アルゴリズム
「京都は水を貰ってるお礼に 年間2億3千万円払ってるからって いつも反論してくるが 全然足りひん(全然足りひん) 安すぎる(もっとちょうだい) そろそろホンマに止めたろか!」


滋賀県民に悲しいお知らせ

 しかし、滋賀県民に悲しいお知らせです。実際に琵琶湖の水を止めると、滋賀県にとっても大変な事態が…。琵琶湖の水の出口は『琵琶湖疏水』『瀬田川洗堰(あらいぜき)』『宇治発電所』の3か所ありますが、それぞれ京都市・国・関西電力が管理していて、滋賀県に止める権限はありません。さらに、もしも琵琶湖の水を止めてしまったら、水位が上がって水があふれ、湖岸の住宅街などが浸水する恐れがあるということです。


良い関係を築く滋賀県と京都市

 滋賀県・三日月知事と京都市・松井市長は、「長い深いつながりが、京都市と滋賀県・琵琶湖の間にはある。信頼関係を大事に、覚書・契約書に基づく取り組みを進めていけたら」と、今後も強い信頼関係を築いていくことを誓い合っていました。

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年4月11日放送)

WACOCA: People, Life, Style.