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2025年9月14日 9:00

【悲鳴】「旬のものがない」“日本の食糧庫”北海道が崩壊寸前⁉猛暑で不作・害虫…『北海道物産展』敏腕バイヤーを悩ます北の大地の“異変”

“食の宝庫”に今、何が―

 百貨店で開催されるイベントの中でも高い人気を誇る『北海道物産展』。しかし近年、北の大地を襲う“食の危機”に、敏腕バイヤーも頭を悩ませています。北の大地で起きている異変とは?現場の人々の声と共に、その背景を探りました。

■8割以上を廃棄することも…大人気のトウモロコシに異変

 近鉄百貨店・森島尚さんは、バイヤー歴27年。年間100日、北海道に通う中で、“生産地の危機”を肌で感じていました。

(近鉄百貨店・森島尚さん)
「北海道物産で、お客様に旬のものを届けようとしても、その“旬のものがない”というのがよく出てきます。農産物は特に『急に獲れなくなった』とか、それがすごく怖いというか、最近は恐る恐る商談することが多いです」

 朝5時、森島さんは江別市を訪れました。父親と共にトウモロコシを育てて10年になる滝農園・滝大洲さんが作るのは、皮が柔らかく、甘みの強い『しろみつとろきび』。百貨店にも問い合わせが多く寄せられる大人気商品です。

 しかし、ここ数年北海道を襲う異常な暑さにより、おととし・去年は不作でした。今年の夏も各所で猛暑日を記録し、北海道らしからぬ暑さが続きました。滝さんによると、「植える苗を約5万本減らし、その代わり株間を空けて熱をこもりにくくした」といい、今年はさらに対策を重ね、トウモロコシは何とか成長してきました。

 しかし、暑さが原因とみられる別の脅威も。それが、気温が高いと活動が活発になるといわれるガの幼虫『ヨトウムシ』です。

 これまで北海道のトウモロコシにはほとんど被害をもたらさない虫でしたが、今年はヨトウムシの食害によって、多い日には収穫したトウモロコシの8割以上を廃棄することもあったといいます。

■「昆布がない」猛暑が与える海への影響

 “異例の暑さ”の影響は畑だけではなく、海にも…。全国シェア約95%(2023年)を占める北海道産昆布の中でも、新ひだか町は天然もので高品質な『日高昆布』を生産しています。しかし、120年以上続く昆布店『磯貝嘉市商店』の5代目・磯貝光請さんは去年、物産展への出店を諦めなければなりませんでした。

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