公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(大阪市住之江区 事務総長:石毛博行)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現する「Co-Design Challenge」プログラム(以下、「CDC」)を2022年から展開しています。第1弾(CDC2023)では、社会課題の解決をめざすプロダクトの開発を実施。第2弾(CDC2024)では、その開発に加え、地域誘客を目的とした生産現場の公開やものづくり体験、オープンファクトリーにも取り組んでいます。

第4回目の開催となる「Co-Design Challenge Pitch #4 ― デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる これからの日本のくらしをつくる22の挑戦 ―」が、9月4日(木)、万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ(以下「FLV」)にて実施されました。本イベントでは、CDCに参加する事業者が、自社の課題解決に向けたアプローチや、プロダクトに込めた想い、そして未来へのビジョンを語りました。

ナビゲーターには、小西利行氏と倉本仁氏を迎え、株式会社colourloop、カナデビア株式会社、一般社団法人サスティナブルジェネレーション、株式会社ドッツアンドラインズの4事業者が登壇。それぞれが直面する社会課題や、それに応えるために開発したプロダクト、さらに万博終了後を見据えた展望について発表しました。  

Co-Design Challenge Pitchは全5回の開催を予定しており、最終回である第5回は9月22日(月)に実施予定です。

最初に登壇したのは、京都工芸繊維大学発のベンチャーで、色をベースにした繊維リサイクルシステムに取り組む、株式会社colourloop CEOの内丸もと子氏。「廃棄繊維は世界で年間9200万トン、日本では200万トンになり、リサイクル率は20~30%」と現状を説明。リサイクルが進まない背景として「様々な種類の繊維が混紡、混織されて使いにくさがある」と続けました。そこで内丸氏が目を付けたのが廃棄繊維を色で分別、循環すること。実際に色分別の数値化に成功し、様々な用途に展開できるようになりました。

内丸氏は、着られなくなった衣類を素材として素敵によみがえらせたいという強い思いから、CDCに応募。家具デザインの「abode」と故繊維提供の「ナカノ」とタッグを組み、廃棄衣料由来のベンチの開発に挑戦しました。京都の家具職人が手作業で仕上げ、実用性や耐久性だけではなく、座り心地にもこだわりました。会場のベンチにTシャツ(1枚100グラムとして)に換算すると3000枚の廃棄衣料が使われています。

最後に内丸氏は「豊かで楽しい循環社会の在り方を提言していきたい」と力強く締めくくりました。

2024年10月に「日立造船」から社名変更したカナデビア株式会社は、担当部長の小田切宏氏が登壇。CDCに応募したのは、一人ひとりの分別によって資源循環する社会を目指すためで、「ごみのほとんどは再利用できる大切な資源です」と力を込めました。

小田切氏が紹介したのは「資源循環に貢献したくなるスマート回収箱とスマートフォンアプリ」。スマート回収箱は、フードトラックで使用されるたい肥化可能な食器類を回収するもので、天井部に設置し た高さセンサーによって内容物の高さを計測し、設定値を超えると回収に関する通知メー ルを事業者に発信する仕組み。「しまじろうとSDGsを考える。」と題したスマートフォンアプリは、子ども向けで4つのゲームで楽しみながら資源循環について学ぶことができます。スマート回収箱とスマートフォンアプリを連携させたプロジェクトには、大栄環境、大栄環境総研、カナデビアが参加しました。

こだわったのは「デザイン×モノづくり」の反映ですが、イラストでどのように表現したらわかりやすいか、アプリへのアクセスを増やすにはどうすればよいか、その難しさや課題を抱えながら現在も改良を続けていることを紹介。最後に改めて、スマート回収箱やスマートフォンアプリをPRしました。

続いて登壇した株式会社高木包装社長の髙木美香氏は、奈良の歴史を地域創生につなげようと奈良県の若手経営者らが設立した一般社団法人サスティナブルジェネレーションの理事。CDCに参加したのは「段ボールの可能性を知ってもらうチャンス。環境にやさしい段ボールを使って未来をデザインしたい」という思いからで、軽量・高強度で多彩なデザイン設計が可能な古紙から生まれる「展示台」を紹介しました。

展示台は、強化段ボールを1台につき100個のパーツをカットして組み上げているため、プラスチックや金属を一切使わない組み立て型でリサイクルができ、曲線も自在に設計可能で、強度も十分というコンセプトを実現できました。総重量25キロ、革新的なデザインの展示台は「フューチャーライフヴィレッジ」内に14台設置され、様々な団体が未来の暮らしの提案を発表する際に使われています。

高木包装は年間で甲子園球場100個分の面積に相当する段ボールケースを作っており、髙木氏は「使用後は不要となる輸送のためだけの段ボールではなく、持続可能な付加価値のある製品を世界に発信できた」と手応えを話しました。

「燕三条から世界へ挑戦したい」と切り出したのは、株式会社ドッツアンドラインズ代表取締役の齋藤和也氏。新潟県の燕市、三条市を合わせたエリア「燕三条」で、材料、板金、溶接などの8社が分業で参画し、JR東日本とも連携して制作した「一枚板から作る歩溜まり99%の椅子」を紹介しました。

廃棄物の処理が社会課題になっている中、大胆に発想を転換し「〝捨てない〟から〝出さない〟へ」に挑戦し開発したのが、フューチャーライフヴィレッジ内のTEステージに設置されているチタン製の椅子です。その要諦は「折り紙発想×一枚板構造」にあると齋藤氏。軽量、高強度のチタン材にレーザー加工で小さな穴で折れ線を作り、手で曲げて溶接。塗装を施さず金属に色をつける「酸化発色」を行い、鏡面磨きで仕上げます。

現在の技術では、折れ線をつくる際にわずかな廃棄物が出てしまうことから歩留まり99%の状態であるが、万博後も100%への挑戦を継続するという齋藤氏。最後に「CDCによって未来が見えた。地域回遊と産業観光の定着にもつなげていきたい」と力を込めました。

小西氏が「色々なトライがありましたが、ここからが勝負です」と激励し、倉本氏が「踏み出していかないと何もできない。たくさんのプロジェクトに出会えてありがたかった」と感謝を述べると、4事業者はこれからの取り組みについて、内丸氏「再生素材が主役になる社会を」、小田切氏「資源循環に貢献できる会社にしていく」、髙木氏「モノ作りの力を発信し地域創生につなげていきたい」、齋藤氏「燕三条を世界一のモノづくりのまちにする」とそれぞれの熱い思いを語りました。

最後に小西氏が最終回となる第5回目・9月22日の開催を「ぜひ楽しみにしてください」と案内し、第4回Co-Design Challenge Pitchは終了しました。

■ナビゲーター

小西利行

POOL INC. クリエイティブ・ディレクター/コピーライター。CM制作から、街づくりや国の戦略構築も行う。「伊右衛門」「PlayStation」「モノより思い出。」などヒットCM多数。多くの企業のCIなどブランディングも手掛ける。

倉本仁

JIN KURAMOTO STUDIO代表/プロダクトデザイナー。家具、家電製品、アイウェアから自動車まで多彩なジャンルのデザイン開発に携わる。素材や材料を直に触りながら機能や構造の試行錯誤を繰り返す実践的な開発プロセスを重視。iF Design Award、Good Design賞、Red Dot Design Awardなど受賞多数。

■事業者

株式会社colourloop(京都府京都市)

ー 廃棄繊維を色で分けてアップサイクル ーサーキュラーエコノミーに繋がるこれからの“ベンチ”をデザインする

カナデビア株式会社(大阪府大阪市)

資源循環に貢献したくなるスマート回収箱とスマートフォンアプリ

一般社団法人サスティナブルジェネレーション(奈良県北葛城郡広陵町)

軽量・高強度で多彩なデザイン設計が可能な古紙から生まれる「展示台」

株式会社ドッツアンドラインズ(新潟県三条市)

これからの「椅子」をデザインする~一枚板から作る歩溜まり99%の椅子~

※登壇事業者の詳細は以下の別紙をご参照ください。

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■日時      2025年9月22日(月)開演:13時30分 終演:16時(予定)

■場所      大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジTEステージ棟

■ナビゲーター 齋藤精一氏・矢島進二氏

■登壇事業者  コクヨ株式会社

        &SPACE PROJECT

        株式会社友安製作所

■主催     公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

■公式サイト  https://www.expo2025.or.jp/co-creation-index/co-design-challenge/

※万博会場への入場には 大阪・関西万博のチケットが必要です。

 大阪・関西万博 チケットインフォメーション | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

 https://www.expo2025.or.jp/tickets-index/

 本イベント自体への参加は無料です。(予約不要・入退場自由)

Co-Design Challengeプログラムは、大阪・関西万博を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現するプロジェクトです。

万博という機会を活用し、プロダクトやサービスを新たに開発することを通じて、現在の社会課題の解決や万博が目指す未来社会の実現を進めます。

Co-Design Challengeプログラムは、当協会が設置したデザイン視点から大阪・関西万博で実装すべき未来社会の姿を検討する委員会「Expo Outcome Design Committee」監修のもと生まれたプログラムです。

本プログラムは、計2回、募集を行いました。第1弾募集(Co-Design Challenge 2023)はモノの開発、第2弾募集(Co-Design Challenge 2024)は、モノの開発に加え、新たに「地域誘客」の観点でそれらのモノが作られた「日本全国それぞれの土地」の生産現場や工房を公開し、来訪者にものづくりを体感してもらう取組(オープンファクトリー)を募集。

4月13日に開幕した大阪・関西万博の会場に22のプロジェクトを通じて制作されたプロダクトが実装され、実際に来場者が触れることができます。さらに本イベント「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」では、その背景にある社会課題へのアプローチや、プロジェクトに込めた想い、未来へのビジョンについて、事業者自らの言葉で語り合う場を設けました。

また、フューチャーライフヴィレッジ内に、CDCを紹介する2台の展示台を設置しています。設置は万博閉幕までを予定しています(※一時展示を行っていない場合もございます)。

CDCではこれらの取組を通じて、万博が目指す未来社会の実現を進めます。

※現時点の予定であり、内容等について今後変更の可能性があります

※1:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/1039280/

※2:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/715881/

※3:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/732220/

※4:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/815909/

※5:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/1047780/

※6:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/1057576/


※フューチャーライフヴィレッジは、会場西側(フューチャーライフゾーン)に位置しています。

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