(CNN) 夜道を照らすほど明るく光る植物は、SFの世界の話のように聞こえるかもしれない。しかし、緑色の光を発する植物はすでに開発されており、米国で市販されている。今回、中国の研究者グループはさらに踏み込み、初めてさまざまな色に光る発光植物を作ることに成功した。明るさもこれまでで最も強いという。
研究は学術誌マターに先月27日に掲載された。研究の共著者で、広州にある華南農業大学の研究者でもある生物学者、リウ・シューティン氏は「『アバター』の世界を想像してみてほしい。光る植物が生態系全体を照らしている世界だ」「私たちは、研究室ですでに扱っている材料を使って、この光景を実現したいと考えた。街灯の代わりに光る木々を想像してみてほしい」と語った。
植物を発光させるため、リウ氏らはエケベリア属の多肉植物メビナの葉にアルミン酸ストロンチウムを注入した。この化合物は暗闇で光るおもちゃによく使われる物質で、光を吸収し、時間をかけて徐々に放出する。
アルミン酸ストロンチウムを注入した多肉植物メビナ/Ms. Liu
植物の遺伝子を編集するのではなく、ナノ粒子を注入することで、赤、青、緑に光る植物を作り出すことに成功した。遺伝子を編集する場合、植物本来の色の制約を受けるため、緑色でしか発光させられない。
研究チームは、このアイデアの実用性を示すため、56個の植物でできた緑の壁を作りあげた。壁は、最大10センチ離れた文字や画像、人を視認できるほどの光を発したという。
化合物を注入して数分間直射日光の下に置くと、植物は最大2時間、光を発し続けた。
56個の植物でできた緑の壁は、最大10センチ離れた文字や画像、人を視認できるほどの光を発したという/Ms. Liu
この間、残光は徐々に弱まっていくが、「植物は日光に当てることで繰り返し充電できる。エネルギーが補充され、日光が当たらなくなっても発光し続けられる」という。
リウ氏によると、アルミン酸ストロンチウムは植物体内で分解されやすく、植物組織に害を及ぼす可能性があるため、科学者らはこの物質の保護バリアとして機能する化学コーティングを開発した。
研究者らは論文の中で、今回の研究結果について「日中に太陽光を集め、夜間に発光する、持続可能で効率的な照明システムとしての発光植物の可能性」を際立たせるものだと考えているとした。
一方で、他の科学者らはこの実用性に懐疑的だ。ケンブリッジ大学植物科学教授のジョン・カー氏は、研究について、現在の技術をやや超えており、植物が耐えられるレベルを超えている可能性があるとの見解を示した。カー氏はこの研究には関わっていない。
「これらの植物が放出できるエネルギー量は限られているため、すぐに街灯として使えるとは思えない」(カー氏)
リウ氏は、これらの植物の発光強度が弱すぎるため、機能的な照明を実現するには程遠いと認めながらも、発光植物は現在「主に装飾用のディスプレーや夜間照明として使用できる」と説明した。
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