トランプ大統領(写真:Pool/ABACA/共同通信イメージズ)
ポスト米国の世界で利益を得るのは誰?
[ロンドン発]第二次大戦後、米国は「世界の保険屋」として海と空の安全、財産の保護、国際貿易ルール、ドルの安定という安全保障と経済の基盤を提供してきた。しかし第2次トランプ政権になって脅しと取引で利益を得る「ゆすり屋」に変貌した――。
米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は米外交誌フォーリン・アフェアーズ9/10月号に『新しい経済地理学:ポスト米国の世界で利益を得るのは誰か』と題して寄稿、米国は「保険提供者」からみかじめ料を強要する「用心棒」に成り果てたと嘆いている。
世界各国は「保険料」として米国経済に投資し、米国のルールを順守することで経済活動の自由と安定を手に入れてきた。この仕組みは米国と世界の双方に大きな利益をもたらした。米国は低金利で国債を発行して借り入れる一方で技術・法的基準を世界に広めることができた。
しかしドナルド・トランプ米大統領は「保険会社」の役割を放棄し、逆に米国発の脅威を世界中にまき散らす。米国への輸出、軍事同盟の見返りに米国製兵器の購入、個人的な優先事項のため裏金を強要する。トランプ氏は意図的に不安定な状況を生み出し、利益を最大化する。

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