パリに住む友人に東京で会ったとき、店を出たら小雨が降っていた。 
「ビニール傘あるから差し上げますよ」と言ったが、「これくらないなら全然平気。向こうだと、みんなあんまり傘ささないのよ」と言い、着ていたパーカーのフードをさっと被って、さっそうと去っていった。

「傘をささない」とは? 
日本人的には、梅雨時に折りたたみ傘を持って歩くのはマストだし、日傘率も高い。そういえば、欧米で日傘はまずささない、と聞いたこともある。 

パリの人たちは雨の日、どのように対応しているのか。
そんな疑問を解消すべく、パリ在住のエディター&ライターの松永麻衣子さんに、実情をレポートしてもらった。

*以下、松永麻衣子さんによる寄稿

雨の日に傘をささないのは本当だった!

雨の日に傘をささないのは本当か? 本当です。
まずは気候の違いです。日本のように一日中雨が降り続けることはほとんどなく、梅雨もありません。 
この記事を準備していた1ヶ月間も、雨は降っても数時間、または数十分で止んでしまう、もしくは降ったり止んだりというのが日常でした。日本とは「雨の降り方」がまったく違うということを、体感しました。

雨が降っても、自転車に乗るのは当たり前

それに加えて、天気予報があまり当たらない地域性も、「フランス人は傘をささない」理由のひとつかもしれません。予報を見て傘を持って出かけるという習慣も、あまりないようです。

私自身、パリに住み始めた当初は「なぜ誰も傘をささずに歩いているのだろう?」と不思議で仕方ありませんでした。でも、ここで長く暮らすうちに、気がつけば私も、出かける前に天気予報をチェックして傘を持つということが、なくなっていました。

では、雨が急に降ってきたとき、彼らはどうするのでしょうか? 
パリでは、にわか雨や通り雨が多く、みんな慣れているのでしょう。 小雨であればそのまま歩き続けます。もしくは「すぐ止む」と見越して、お店の軒先やカフェに入って雨宿り。慌てて傘を買ったり、走ったりはしません。 
雨が降っているのだから洋服が濡れるのは当たり前。湿ってしまうのも仕方ない。そんな風に受け止めているようで、私は潔さすら感じます。

メトロの駅があちこちにあるので、雨を避けるのは簡単。フードを被った人が2人入口に向かっている

雨の日に傘をささない人のスタイルには共通点があります。カフェテラスでリサーチしてみたところ、傘をささない人たちは皆、 フード付きアウター、スウェットパーカといった服装で雨をやり過ごしていました。 
ストールを頭にふわっとかけている人もいれば、キャップやニット帽をかぶっている人もいます。ただし、レインハットではありません。 
レインウェアの人気ブランドとしてはAigle(エーグル)やThe North Face(ノースフェイス)、K-way(カーウェイ)などがあり、フード付きのナイロンアウターはパリでも愛用されています。 

⚫︎傘はささずに、「着る」のがパリスタイル

フード付きレインウェア結構な雨量のときは傘をさす人たちもいる模様

⚫︎フードさえあれば大丈夫

4人とも、フード付きアウターで歩いているとにかくフードさえあればあればOK傘をさすのではなく、フード付きのアウターをささっと着るフード付きスウェットは万能。この着こなしはよく見かける

⚫︎帽子だけ、ストールだけでも平気 

雨でも慌てない。普段使いのキャップを被ればOKストールを頭に巻くのもあり。これから雨が降りそうな時の便利アイテム

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