8月3日(日)、スポーツデポ フラッグシップストア天久店にて開催されたのは、琉球ゴールデンキングス所属であり、アンダーアーマー契約選手でもある岸本隆一選手のプレミアムトークショー。告知からわずか数時間で満席となった完全予約制・限定40名の本イベントは、岸本選手の素顔や熱い想いに触れられる、特別なひとときとなりました。

 

さらにイベント終了後には、アルペングループマガジンによる独占インタビューも実施。岸本選手が語った“いまの自分”とは――その模様を余すことなくお届けします。

 

 

■「オフの日も全力!」岸本選手が語る、等身大の素顔

 

 

司会者の呼びかけで会場に登場した岸本選手。
 

拍手とともに交わされた第一声は「こんにちは!今日は本当にたくさんの方に来ていただいて、すごくうれしいです」。

 

実はこの日、岸本選手は練習後ではなく完全オフ日。午前中は「高圧洗浄機で家の外回りを徹底的に掃除していました(笑)」とのこと。“地に足の着いた”休日エピソードに、会場は笑いと親近感に包まれました。

 

 

■苦しみも歓喜もあった2024-25シーズン

 

 

話題は自然と今季の振り返りへ。終盤に左第5中足骨骨折を負ったことは、「悔しかった」と素直に語りつつ、「それでもチーム全員が力を出し切れた、誇らしいシーズンでした」とリーダーらしく締めくくりました。

 

特に印象に残っている試合として挙げたのは、チャンピオンシップ・三遠ネオフェニックス戦。SNSでも大きな話題となった“神の手プレー”について、こう振り返ります。

 

「残り5.3秒、松脇選手の右手がチームを救ってくれた。あの瞬間はまさに奇跡でした。試合後、思わず“その手、触らせて!”って頼んじゃいました(笑)」

 

この裏話に、会場からは笑いと驚きの声が同時に上がりました。

 

 

■念願の天皇杯優勝と「直視できなかった」瞬間

 

岸本選手の表情が一層引き締まったのは、天皇杯優勝の話。
 

「何度も決勝までは行って、毎回悔しい思いをしてきた。ようやく沖縄に持ち帰れた優勝は、本当にうれしかった」と、感慨深く語りました。

 

試合終盤、アルマ選手が託された3本のフリースロー。「緊張しすぎて見ていられなかった」と振り返るその姿に、コート上の極限のドラマが垣間見えました。

 

■岸本選手の流儀:「自分の出ている時間で流れを変える」

 

試合中に最も意識していることは?という問いに対し、「得点やアシスト以上に、“チームをいい流れに乗せること”にこだわっている」と語る。

 

数字では見えにくい部分にプロのこだわりが宿っており、その一言にファンの皆さんも真剣な眼差しで耳を傾けていました。

 

 

■ディープスリーの裏側と“ピンクの気分”

 

 

続いて話題は、“ディープスリー”へ。試合でしばしば決める超ロングレンジの3Pシュートは、「距離があるからこそ、体の状態を一番繊細に感じられる」と語り、「調整にもなる」と独自のシュート理論を披露。

 

今日のファッションはアンダーアーマーの限定「ストリートクエスト」シリーズ。
 

「ピンク系が好きで、娘に“かわいい”って言ってもらえると、つい選んじゃいます(笑)」と語る姿には、アスリートであると同時に“お父さん”としての顔も。

 

 

■シューズへのこだわりとアンダーアーマーの信頼

 

 

「バッシュは、グリップ力と安定感が命。軽量なソールユニット”UAフロー”は信頼できる武器」と語るように、プレーの質に直結するアイテムへの信頼は厚い様子。月1ペースで履き替えながら、最適な感覚をキープしているとのこと。

 

アパレル面では、睡眠用ウェアもお気に入りで「自然と眠れるようになった」とのエピソードも披露。アンダーアーマーは“戦う時間”も“休む時間”も支えてくれる存在であることが伝わってきました。

 

 

■「続ける秘訣は“好き”という気持ち」

 

 

当日のイベントではファンからの質問に答える場面も。
 

イベントに参加したとあるファンからの質問に対し、岸本選手はこう答えました。

 

「どんなに苦しくても、バスケが“好き”という気持ちがすべてを支えてくれる。自分に合った環境を選ぶことも、続けるための大事な選択です」

 

その言葉には、第一線を走り続けてきた選手としての重みと優しさが込められていました。

 

 

■豪華プレゼント&じゃんけん大会で大団円!

 

 

イベント終盤には、サイン入りボールやグッズが当たるじゃんけん大会を実施。さらに「実は今シーズン履いていたバッシュも持ってきました」というサプライズ発言も飛び出し、会場は大盛り上がり!

 

「インソールが外れているので非売品ですけど、欲しい方いればぜひ(笑)」と、最後まで岸本選手らしいユーモア全開のひと幕でした。

 

 

■ラストメッセージと記念撮影

 

最後に岸本選手からファンへ熱いメッセージが。

 

「皆さんの応援が、本当に力になっています。今シーズンは“やり切った”と胸を張れるようなシーズンにします。応援、よろしくお願いします!」

 

 

全員での記念撮影のあと、プレミアシート当選者は岸本選手とのハイタッチ退場でフィナーレ。余韻が残る、心温まるイベントとなりました。

 

 

■ イベント後には、独占インタビューも実施!

 

 

トークショー終了後、岸本選手はアルペングループマガジンの独占インタビューにも応じてくれました。イベントの熱気が残る中で語ってくれたのは、キャリアを重ねた今だからこそ見えてきたバスケへの向き合い方、高まる沖縄のバスケット熱、そして自身が描くこれからのビジョン。その一言一言から、岸本選手の“今”が鮮やかに伝わってきました。

 

――本日はお疲れ様でした!イベントの感想についてお聞かせください。

 

率直に、とても楽しみにしていたイベントだったので、多くの方々にお越しいただけて本当に嬉しかったです。目の前で皆さんの笑顔や声援に触れることで、改めてバスケットボールを通じてつながれる喜びを感じましたし、すごく力をもらいました。
 

短い時間ではありましたが、とても温かく、心に残る時間になりました。

 

――2年前にも岸本選手のイベントを取材させていただきましたが、今回の来場者数を見ると、そのとき以上の盛り上がりを感じます。沖縄全体でバスケットボール人気が一層高まっている証なのではないでしょうか。

 

 

はい、年々その盛り上がりは確実に感じています。特に昨シーズンは天皇杯で優勝することができたこともあり、チームへの注目度も一段と高まったと思います。

 

イベントで直接声をかけていただく機会も増えて、「応援しています」「試合見に行きました」といった言葉をかけてもらえるのは、本当に励みになります。また、沖縄アリーナは他の会場と比べても、海外からのお客様が多いのが印象的です。観光で訪れた方々にも「観てみたい」と思ってもらえるような、そんな魅力のあるチームでありたいと思っています。

 

――昨年、2024年11月22日に「スポーツデポ 天久店」が旗艦店「スポーツデポ フラッグシップストア天久店としてリニューアルされました。新しいバスケットボール売り場の印象はいかがでしたか?

 

 実はまだしっかりとは見られていないですが…僕自身、小学生の頃からこの店舗に通っていたので、バスケットコーナーには特別な思い出があります。

 

当時から品揃えが豊富だった印象ですが、今回のリニューアルで、さらに多くの方が足を運びやすくなったと感じますね。実際にプレーしている方はもちろん、興味を持った人でも入りやすいような、わかりやすい売り場構成になっていて。「ちょっと触れてみようかな」と思わせてくれるような空間づくりがされていると思います。プロになった今でも、売り場に足を踏み入れるときの“ワクワク感”は、昔と変わらず感じています。

 

 

――岸本選手が店舗に行かれた際に、よくチェックするコーナーはありますか?

 

やっぱりシューズコーナーですね。でもバスケットシューズだけでなく、他の競技用のシューズにも目がいきます。「この競技ではこういう設計なんだ」「なんでこういうデザインになってるんだろう?」と考えながら見るのが面白くて。バスケットシューズと比較しながら選んでいくのも、自分なりの楽しみのひとつになっています。

 

 

――今回のイベントはアンダーアーマーの主催ですが、日々の練習や試合の中で、アンダーアーマーのプロダクトがパフォーマンスに与える具体的な影響を感じることはありますか?

 

イベントでも話しましたが、シューズの性能は、自分のプレースタイルに非常にフィットしています。足元の安定感やフィット感がしっかりあって、グリップ性能も非常に高い。他社のシューズと比較しても、そのグリップの強さは際立っていて、実際のプレーにおいても大きなプラスになっています。

 

 

――アパレルについても長年着用されているかと思いますが、年々どのような進化を感じていますか?

 

 

年齢を重ねるにつれて、自分の体に合ったウェア、そして快適に動けるかどうかをより重視するようになりました。その中で、アンダーアーマーのアパレルは確実に機能性が進化していると感じますし、自分のパフォーマンスの幅を広げてくれる存在だと思っています。

 

コンディション管理にも直結する部分なので、日々のトレーニングでも欠かせないアイテムになっていますね。

 

 

――先ほどのトークショーでも少し触れられていましたが、今シーズンの終盤は怪我を経験されました。アスリートとして、怪我とどう向き合い、どのように乗り越えてきたのでしょうか。

 

少しカッコつけた言い方になるかもしれませんが、僕にとって怪我は「きっかけ」だと思っています。もちろん、怪我をした直後は落ち込みますし、「なんで自分が…」と悲観的になる瞬間もあります。

 

でも、その経験を通じて自分が強くなれる――そう信じて前に進むことが大切だと感じています。怪我はただのマイナスではなく、成長するための一つの通過点として捉えるようにしています。

 

 

――キャリアや年齢を重ねる中で、その向き合い方にも変化はありましたか?

 

はい、年齢を重ねるにつれて、体力面だけでなく「このキャリアにもいつか終わりがくる」という意識が強くなってきました。だからこそ、1日1日を無駄にしないように、自分のコンディションを最優先に考えるようになりました。僕が特に意識しているのは「生活リズムを崩さないこと」です。アウェーでの試合や遠征があっても、毎朝同じ時間に起きて、同じ時間に食事を摂る。そうしたルーティンを守ることで、安定したコンディションを保つようにしています。

 

 

――若いアスリートたちに向けて、伝えたいメッセージなどありますか?

 

 

プロ15年目になりますが、今だからこそ若い選手に伝えたい言葉があります。
 

「いつか必ず終わりがくる」ってことです。これは決してネガティブな意味ではなくて、だからこそ“今この時間”を大切にしよう、ということ。若いと、良い時期がずっと続くような感覚になってしまいますが、実際はそうじゃない。時間には限りがあるからこそ、1日1日をどう過ごすかが大切だと思います。

 

 

――プレー映像の振り返り方など、自己分析にも変化はありましたか?

 

全然違いますね。昔は見逃していたような細かい部分にも気づくようになりましたし、今でも「まだまだ気づけていないことがある」と感じています。だからこそ、常に学び続けたいという気持ちが強いですね。

 

 

――では、これからのシーズンやキャリアにおいて、目指していることを教えてください。

 

やっぱり「優勝」ですね。これはずっと変わらない目標です。チームとしてタイトルを取りにいくことが、自分にとっての最大のモチベーションです。そのためにも、体のケアを大切にしながら、パフォーマンスを維持・向上させて、キャリアをできるだけ長く続けていきたいと思っています。

 

プレーの面では、より正確性を高めたいと考えています。周りには素晴らしい選手がたくさんいるので、自分のプレー回数を減らしてでも、彼らを生かすプレーを増やしたい。でも、自分の数字を落としてもいいとは思っていません。その分、1回1回のプレーの質を高めて、チームにとってより効果的な存在になれればと考えています。
 

【写真】大谷翔
【文章】池田鉄平
【取材協力】株式会社ドーム、スポーツデポ フラッグシップストア天久店

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