欧州連合(EU)はトランプ米大統領が週内に執行措置を行使し、自動車関税引き下げと航空部品など一部の工業製品の関税免除を正式なものにすると見込んでいる。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  この関係者によると、米欧はトランプ大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長が7月に合意した政治的コミットメントの概要を示す共同声明も発表する見通し。これらの措置の法的な形式は米国側の判断次第だという。関係者は内部の協議内容だとして、匿名を要請した。

  米国との合意条件に従うと、EUは米国への大半の輸出品に15%の関税が課される。双方の当局者がこれまでに明らかにしたところでは、自動車関税も現在の25%から15%に引き下げられ、医薬品や半導体など将来決定される業種別の関税率にも15%が適用される。

  ホワイトハウスが7月31日付で発表したトランプ氏の大統領令では、EUからの輸入品には15%の基本関税が上限として適用されることを確認した。一方、他の大半の貿易相手国・地域に対しては、既存の「最恵国(MFN)」税率にそれぞれの基本税率が上乗せされる形となる。

  米国が合意の履行に向けて動き始めたため、EUは合意が不成立だった場合に備えて用意していた報復措置のパッケージを6カ月凍結することを提案したと、欧州委員会の報道官が4日発表した。

  ただ、31日の大統領令で説明されているのはいわゆる上乗せ関税だけで、免除には触れられず、業種別の関税がどのように賦課されるのかについても記載がなかった。トランプ氏はこれまでに自動車や自動車部品に25%、鉄鋼やアルミニウムには50%の関税をそれぞれ課し、近い将来には医薬品や半導体も標的にすると示唆している。

  複数の当局者は、一部の後発医薬品や航空部品など限られた数の輸入品に対して、週内に15%を下回る税率が付与されることになるだろうと語った。ブルームバーグがこれまでに報じた通り、ワインや蒸留酒など関税ゼロの取り決めで相互に恩恵を受けられそうな産品を関税対象から除外することも、双方は交渉を続けている。

原題:EU Awaits Trump Actions on Car Tariffs, Exemptions This Week (1)(抜粋)

EU to Suspend Trade Countermeasures Against US for 6 Months(抜粋)

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