欧州連合(EU)は、米国との通商協議について決裂の可能性を含めあらゆる展開を想定して準備を進めている。EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、トランプ米政権から提示された最新の提案についてEU首脳と協議した後の27日未明に明らかにした。

  フォンデアライエン氏は記者会見で、自身のチームが最新の米関税案を引き続き評価中だと説明。「われわれは合意に向けて準備している。一方で、満足のいく合意に至らない可能性にも備えている」と述べ、「要するに、すべての選択肢がテーブルの上にある」と語った。

  EUと加盟国首脳らを悩ませているのは、米国との非対称的な通商協定を受け入れるか、報復措置に踏み切るかという問題だ。報復に出ればさらなる対立と米大統領の怒りを招くリスクがある。

EU Leaders Look to Channel Momentum From NATO Summit

フォンデアライエン欧州委員長

Photographer:Simon Wohlfahrt/Bloomberg

  26日にブリュッセルで開かれた首脳会議では、複数の加盟国が報復に反対の立場を表明した。事情に詳しい関係者2人によれば、完璧な合意を求めて粘るより、トランプ関税の多くが残るとしても米側との早期妥結が望ましいとの意見が多数を占めた。

  EUは米国向け輸出のほぼすべてに50%の関税が課される7月9日までに、トランプ政権と合意に達する必要がある。トランプ氏はEUが貿易黒字と貿易障壁を利用して米国につけ込んでいると主張している。

  ドイツのメルツ首相は期限の重要性を首脳らに強調し、「今すぐ合意を目指すべきだ」と訴えた。「2週間もない。洗練された通商協定をこの期間でまとめることはできない」と指摘した。

  一方、フランスは米国に有利な偏った合意は受け入れられないと主張しており、関税の完全な撤廃を求めている。マクロン仏大統領は首脳会議後、早期合意は望ましいが、それは「バランスの取れた内容」であることが前提だと述べた。

  マクロン氏は「最良の関税合意は『ゼロ対ゼロ』だ」とした上で、米国が10%の関税を維持するならEUとしても対抗措置を講じる必要があると強調した。

  関係者によれば、EUと米国は現在、関税や非関税障壁、重要産業分野、戦略的購買、規制改革などを巡り詳細な協議を行っている。

  ブルームバーグの先の報道によると、米国はEUに対し、一方的で不均衡な譲歩を求めているとEU当局者は受け止めている。協議が特に難航しているのは、鉄鋼・アルミ、自動車、医薬品、半導体、民間航空機といった重要分野だという。

 

原題:Von Der Leyen Says EU Will Be Ready If US Trade Talks Break Down(抜粋)

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