中谷潤人vs.西田凌佑のセミファイナルとして挙行された一戦も非常に見応えのある戦いになった。WBCランキングでバンタム級1位まで上がってきた那須川天心(帝拳)はビクトル・サンティリャン(ドミニカ共和国)との10回戦に3-0(99-91×2, 100-90)判定勝ち。“ボクシング界の風雲児”には常に賛否両論の声が飛び交うが、プロボクサーとしての成長過程を見守ってきたリングマガジンの英国人ライター、トム・グレイ氏は今戦の出来に感銘を受けたようだ。【NumberWebレポート全3回の3回目/第1回から続く】(以下、グレイ記者の一人語り)

 サンティリャン戦でのテンシンには、私は100点満点中90点を与えたい。前戦で判定勝ちした元WBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(豪州)の方がサンティリャンより優れたボクサーだったから、キャリアベストの勝利だったとは思わない。しかし、内容的には非常に上質だった。

 序盤から冷静に試合を進め、ディフェンスにも長けていた。膝を曲げ、攻撃前にはしっかりと頭を動かし、パンチを出した後にも頭を振っていた。以前のテンシンは時に攻撃的になりすぎ、不必要に打ちに出るシーンが散見したが、ここではそういった悪癖が消えていた。パフォーマンスは非常に洗練されていたと思うし、特に印象的だったのは最後の2ラウンドだ。

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