5月13日、ソフトバンクグループが発表した2025年1―3月期の連結純損益(国際会計基準)は、5171億円だった。2017年7月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
[東京 13日 ロイター] – ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tab(SBG)が13日に発表した2025年1―3月期の連結純損益(国際会計基準)は5171億円の黒字だった。10―12月期は3691億円の損失。一方、25年3月期の通期の最終損益は1兆1533億円の黒字で、21年3月期以来4年ぶりの黒字となった。
IBESがまとめたアナリスト5人のコンセンサス予想では、1─3月期の連結純損益の平均値は268億円の損失だった。ソフトバンクGは通期の業績見通しを開示していない。
AI(人工知能)関連企業に投資する傘下のビジョン・ファンド(VF)の1─3月期の投資損益は1772億円の利益(前年同期は575億円の損失)で、10─12月期の3527億円の損失から改善した。中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社である字節跳動(バイトダンス)などの評価額が上昇した。
通期実績について後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は会見で、「4年ぶりの黒字はうれしいこと」だと述べた。
同社が最も重要視する経営指標である時価純資産(NAV)、保有株式価値から純有利子負債を差し引いたものは、3月末にはハイテク株の下落を受けて25.7兆円に減少した。ただ、その後の株価回復により現在は前年度末と同水準の27兆円まで回復しているという。
VF全体では、米オープンAIや国内決済アプリを展開するPayPay(ペイペイ)を含めた新規株式公開(IPO)を目指すレイトステージの企業の公正価値が約360億ドル規模に上ると試算する。
ペイペイについては、後藤CFOは上場準備に入るだけの企業としての準備は整ったとしつつ、「今年になるのか来年になるのか3年後になるのか」と述べ、上場時期は環境やIPO市場の動向などに合わせて決めていくとの認識を示した。
SBGは、AIへの投資を加速している。25年1月に米AIインフラの合弁事業「スターゲート」を公表、3月にはAI向け半導体を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドル(約1兆円)で買収、4月には対話型AI「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIへの最大400億ドル(約6兆円)の追加出資を発表した。
SBGによると、オープンAIへの追加出資については、初回出資100億ドルのうち18.4億ドルが集まっている。オープンAIは今月5日、営利企業への移行計画を断念することを正式に発表したが、後藤CFOは「悪い方向には行っていない。投資しているところは(非営利団体の下の)事業ビークルであり、営利会社として成長していけば、投資価値が十分にある」との考えを示した。
後藤CFOはスターゲートにも触れ、現在100件以上の案件について提案を受け、精査・議論を重ねているという。特にテキサス州で第1号から第3号案件までが立ち上がる見込みで、金融機関との交渉はこれからと説明。トランプ米政権による関税措置の影響についても「計画が大きくスタックするような状況にあるとは考えていない」と話した。
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