豪賃金、第4四半期は前年比+3.2%に鈍化 2年超ぶり低い伸び

オーストラリア統計局が19日発表した2024年第4・四半期の賃金価格指数(WPI)上昇率は前年比3.2%と、前期の3.6%から鈍化した。シドニーのビジネス街で5月撮影(2025年 ロイター/Jaimi Joy)

[シドニー 14日 ロイター] – オーストラリア連邦統計局が14日発表した10月の雇用統計は、就業者数の伸びが鈍化した。ただ、失業率は低水準にとどまり、労働市場は基調的な底堅さを維持しており、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が利下げを急ぐ必要性が低いことを示唆している。

10月の就業者数は前月比1万5900人増と、前月の6万1300人増を大きく下回り、7カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。ただ失業率は4.1%で横ばいだった。

就業者数は市場予想の2万5000人増にも届かなかったが、前年比では2.7%増と高い伸びが続いている。

就業率は67.1%で、過去最高だった前月から0.1ポイント低下した。

市場は反応薄で、豪ドルは横ばいの1豪ドル=0.6485米ドル。金融市場は最初の豪利下げが来年5月か7月になる可能性が高いとの見方を維持した。

中銀は現在の政策金利(4.35%)が雇用の伸びを維持しながらインフレ率を目標の2─3%に抑制するのに十分に制約的な水準と判断し、過去1年にわたり金利を据え置いている。

労働市場が堅調な中、目先の利下げの見込みは薄い。中銀はインフレ率が目標に向けて持続的に低下していると確信するまで、制約的な金融政策を維持するとしている。

RBCキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スリン・オン氏は「非常に底堅く堅調な労働市場を浮き彫りにした。必要以上に逼迫しているかもしれない状況が続いている。就業者数は予想を下回ったが、全般的に極めて良好な結果だ」と指摘。

「中銀の目から見れば労働市場はおそらく想定より好調となっている。労働需給がある程度緩まなければ中銀が利下げを容認することはないだろう」とした。

市場は中銀が今年最後となる12月の会合で利下げする確率はわずか10%と予想。来年2月の確率も28%にとどまっている。

10月雇用統計では労働時間が0.1%増加。不完全雇用率は0.1%上昇の6.2%だった。

ナショナル・オーストラリア銀行は労働市場が全般的に底堅いことから、中銀の利下げ開始時期を2月から5月に変更した。

一方、他の大手行は利下げ開始を引き続き2月と予想している。

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