掲載日

2025年4月29日

主要なアパレル生産国であるバングラデシュ、パキスタン、インドネシアは、衣料品輸入に対する米国の関税を回避するための交渉手段として、米国の綿花購入に目を向けるようになっています。各国はそれぞれ異なる経済状況下で事業を展開していますが、米国の生産量に限りがあることや、綿花貿易における中国の支配的地位など、ハードルに直面する可能性のある戦略は共通しています。

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全米綿花評議会(NCC)は最近、海外のバイヤーからの関与が急増していることを目の当たりにしています。米国の主要な綿花輸入業者数社は、トランプ政権がアパレル製品に課した高関税の緩和を得るため、その購買力を活用しています。この取り組みにはバングラデシュ繊維工場協会(BTMA)も含まれ、米国当局者との直接協議に着手しています。

米国は中国、インド、ブラジルに次ぐ世界第4位の綿花生産国で、2023年の生産量は1,200万俵、世界生産量の11%を占めます。2024年、バングラデシュは米国綿花の第5位の輸入国となり、2億7,000万ドル相当を購入。協議の進展に伴い、バングラデシュは現在12%に過ぎない米国産綿花の原料構成比率を大幅に引き上げる意向を表明しています。

「BTMAのショーカット・アジズ・ラッセル会長は、「私たちは、相互協力と政治的支援によって、近い将来この量を4倍から5倍に増やすことができると確信しています。彼は、バングラデシュの繊維・アパレル部門と米国との「長年の実りあるパートナーシップ」を強調しました。

バングラデシュの最優先事項は、従来の10%から引き上げられた37%の新関税を回避することです。2024年、アメリカはバングラデシュから 75億ドル相当のアパレルを 輸入し、中国、ベトナム、インドに次ぐアメリカのトップサプライヤーとなります。

パキスタンの戦略

パキスタンは、貿易協議に影響を与えるために、異なる立場からではありますが、同様の綿花ベースのアプローチを追求しています。パキスタンは世界第5位の綿花生産国ですが、米国からの綿花輸入量は中国、ベトナム、トルコに次いで第4位です。

2024年、パキスタンは米国に21億ドルのアパレルを輸出。パキスタンは現在、関税引き上げの免除を交渉するため、米国産綿花と石油の輸入を増やす可能性を検討しています。

ジャム・カマル・カーン商務大臣は楽観的な姿勢を崩していませんが、懸念は根強く残っています。業界リーダーたちは、中国を標的にした貿易戦争が、パキスタンよりも大量の衣料品を米国に出荷しているインドやベトナムを不用意に利する可能性があると警告しています。特にベトナムは、中国原産品に課される関税を回避するため、中国メーカーがベトナムに拠点を移すことで注目を集めています。

外交的バランスを取るインドネシア

2024年の出荷額が42億ドルで対米第5位のアパレル輸出国であるインドネシアも、米国産綿花を貿易交渉の重要な要素として位置づけています。この戦略は、エアランガ・ハルタルト経済大臣が主導する経済外交と一致しています。

インドネシアは綿花の国内生産量が少なく、オーストラリアやブラジルからの輸入に大きく依存しています。アメリカ綿へのシフトは、調達方針の大きな転換を意味します。

しかし、米国産綿花の供給には限りがあるという大きな課題が残っています。この供給不足は、アメリカの貿易障壁を回避しようとする国々間の競争に火をつける可能性があります。

中国は現在、米国綿花輸出の18.4%を占め、最大の海外バイヤーとなっています。しかし、中国も同じ関税を課されているため、その圧倒的な市場シェアによって米国産綿花へのアクセスに影響を及ぼすことができ、アジアのライバルの供給が制限され、世界のサプライチェーンに対する支配力が強まる可能性があります。

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