先端半導体生産で環境汚染、欧州は排出ガス抑制が重要=報告書

シンクタンクのインターフェイスは17日、化学物質を多用する半導体業界の汚染動向に関する調査報告書を公表した。写真は半導体の製造工場で2023年に撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)

[アムステルダム 17日 ロイター] – ドイツの首都ベルリンに拠点を置くシンクタンクのインターフェイスは17日、化学物質を多用する半導体業界の汚染動向に関する調査報告書を公表した。

その中で、人工知能(AI)に必要な先端半導体の生産に伴う環境汚染が急速に拡大していると指摘し、欧州連合(EU)は温室効果ガスの排出量が少ない既存の半導体生産の発展に重点的に取り組むべきだと訴えた。

同報告書によると、世界の半導体業界のエネルギー使用量は過去8年間で125%増加した。半導体全体の生産拡大に加え、先端半導体の生産増加によりチップ1枚当たりの排出量が増えたことが背景にある。

自動車や送配電網、産業向けに使われる「成熟半導体」や「レガシー半導体」は全般的に環境汚染のレベルが比較的低い。

調査にあたったインターフェイスのジュリア・ヘス氏はロイターへの電子メールで、欧州の競争力を高める決め手は、既に半導体市場をけん引し、グリーン経済への移行に必要な半導体を製造しているEU企業の強化だと指摘した。

欧州のSTマイクロエレクトロニクス(STMPA.PA), opens new tab、インフィニオン(IFXGn.DE), opens new tab、NXP(NXPI.O), opens new tabといった半導体メーカーはこの種の半導体生産で世界でもトップクラスだ。

ヘス氏は「EUが先端半導体の生産を拡大する方針であれば(シリコンウエハー1枚当たりの排出量とエネルギー消費がはるかに高いため)、気候と環境に重大な影響を及ぼすことになる」と指摘。この場合、欧州で水力発電と再生可能エネルギーを利用しやすくすることが好ましいと主張した。

同氏は、より適切な環境基準で半導体を生産することが長期的な競争優位性につながると付け加えた。

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