ゼロに近い日本でのキア知名度

日本市場へ2026年の正式導入が確定している、韓国キアの商用EV『PV5』。そう聞いても、日本のユーザーのほとんどがピンとこないだろう。なぜならば、日本ではキアの知名度はゼロに近いからだ。

また、一般ユーザーにとって商用EV市場の現状に興味がある人は少ない。最近は、グローバルで『EV(普及)は踊り場』というニュースを目にすることもある。こうした状況から見て、なぜキアEVが日本上陸するのか、疑問を持つ人がいても不思議ではない。

4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』でキアが展示したPV5。4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』でキアが展示したPV5。    桃田健史

4月3日に開幕した『ソウルモビリティショー』。主役は韓国市場で約8割を占める、現代・起亜自動車グループ(以下、ヒョンデ・キア)である。

ブランド別でみると、ヒョンデ、ラグジュアリーな『ジェネシス』、そして多様な乗用モデルをラインアップしている『キア』の3つとなる。キアは現在、ヒョンデ傘下となっており、車体、エンジン、モーター、電池などでヒョンデとの共通性が高い。

日本市場向けでは1990年代から進出したものの、販売は伸びずに撤退した。ところが、昨年大きな動きが起こった。大手商社の双日が9月、『キアのEVバンの日本導入に向けキアコーポレーションとの販売総代理店契約を締結した』と発表した。発売開始予定は、2026年春。

しかも、1モデルではなく、『PV5』を皮切りに他の『PBV(プラットフォーム・ビヨンド・ビークル)』を順次導入するというのだ。

ベストタイミングで登場した期待の新世界戦略

キアのPBVとは、次世代の小型商用車『LCV』を意味する。LCVといえば、日本車ではトヨタのハイエース、タウンエース、日産のキャラバン、NV200バネット、また、欧州車ではルノー・カングーなどがイメージできるだろう。

だが直近で、大手自動車メーカーでは、LCVのEVシフトのスピードが緩やかとの印象がある。日米欧の各メーカーはコロナ前から様々なコンセプトモデルを披露したり、一部を発売しているのだが、欧州でのEV市場の先行きが不透明になったり、第2次トランプ政権によるEV施策の方向転換の可能性が懸念されるなど、多様な不安要素があるからだ。

ソウルモビリティショーのキア・ブース。ソウルモビリティショーのキア・ブース。    桃田健史

他方、スタートアップの動きは世界各地で活発で、例えば『ジャパン・モビリティショー2023』でも、日本では馴染みのない欧州系スタートアップ数社がEVの最新LCVを出展して来場者の注目を集めた。大手運輸、運送企業でもすでに導入した事例がある。市場変化をリスクではなく、チャンスとして捉えた動きだと言える。

そうした中で、大手自動車メーカーのヒョンデ・キア・グループのPBVは、昨年1月の世界最大級の家電・IT関連見本市『CES』でコンセプトモデルとして登場。そして今回、地元韓国で様々な量産ベース車と新たなるコンセプトモデルが一気に登場した。グローバルEV市場の動きを精査しながら、良きタイミングで世に出たという印象だ。

報道によれば、キアはPV5導入後、2年毎により大きなサイズのPV7、PV9を市場導入する可能性がある。

EVがキアのブランド価値を引き上げた

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