元日本代表監督フィリップ・トルシエが約1カ月の日本滞在後に語った“2025年の日本サッカー本音評価”の続きです。〈NumberWebインタビュー/全3回。第1回からつづく〉
フィリップ・トルシエインタビューの最終回である。
選手の意見を取り入れる森保一日本代表監督のマネジメントが機能したから、日本代表を押しも押されもせぬアジア最強国の地位に押し上げたとトルシエは言う。
選手を言葉と理念、コンセプトで導く強い力を持つリーダーが不在でも、日本はここまで到達できたと。
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だが、そこから先に進むためには、日本代表にもカリスマ性のあるリーダーが必要であり、それは選手ではなく監督・指導者であるべきだと彼は主張する。日本が世界の頂を目指すために必要なものは何であるのか。そしてそれを考えるのはいつであるのか。トルシエは語り続ける。
私が間違ったのはトルコ戦で責任を与えたことだった
――森保監督のチームマネジメントについて、あなたの目にはどう映っているでしょうか。
「今の森保は海外組と完璧な調和を保っている。彼らはビッグクラブの素晴らしい環境で優れた監督の指導を受けている。その状況で森保のマネジメントは選手とのやり取りに主眼が置かれている。言うなれば選手も参加するマネジメントだ。選手は自由に意見を表明し、積極的に議論に加わる。このやり方がうまく機能しているから、日本はW杯予選も問題なく通過しいい結果も得ている。
他方で日本は技術大国でもある。森保は、戦術的な構築を名波浩をはじめとする専属スタッフに任せることでマネジメントをよく機能させているが、エキスパートの人材が豊富な日本が必要としているのはガイド(導く者)、チームを導けるリーダーだ。日本には自分たちでチームを導ける力はない」
――あなたが以前から指摘していた、古くて新しい問題ですね。
「私が間違ったのは、日韓W杯のトルコ戦で、選手たちに責任を与えたことだった。
選手が参加するマネジメントを実践した。試合が始まってから感じたのは、日本はまだその段階にないということだった。選手が責任を持って自分たちの主張を実践できる段階には至っていない。日本にはまだ導いてくれるガイドが必要だった」
残念ながらモリヤスはそのタイプではない
――累積警告でキャプテンの小野伸二が欠場した1999年のU-20W杯決勝、対スペイン戦でも同じことを感じました。
「この問題は、日本代表を見るたびに幾度となく現れた。選手たちはもの凄く成長し、サポーターが『森保は何もしていない』と揶揄するぐらいに存在感を示せるようになった。代表の原動力は選手であって、森保は何も貢献していない、監督は必要ないと。
だがそれは違う。
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