銅生産量が世界最大のチリのエスコンディダ鉱山で起きた賃上げストライキを巡り、鉱山権益の半分以上を持つオーストラリア資源大手BHPグループは13日、交渉再開の呼びかけを労働組合が拒んだことを受けて、スト中の労働者排除を始めたと発表した。写真はエスコンディダ鉱山で2008年に撮影(2024年 ロイター/Ivan Alvarado)
[サンティアゴ 13日 ロイター] – 銅生産量が世界最大のチリのエスコンディダ鉱山で起きた賃上げストライキを巡り、鉱山権益の半分以上を持つオーストラリア資源大手BHPグループ(BHP.AX), opens new tabは13日、交渉再開の呼びかけを労働組合が拒んだことを受けて、スト中の労働者排除を始めたと発表した。
銅は各種配線やほぼ全ての電子機器の製造で使用される金属で、同鉱山の昨年の生産量は110万トンに及んだ。スト中の労働者排除により、現場では緊張が高まっており、生産に大きな打撃となる恐れが出てきた。
鉱山の権益はBHPのほか、英豪資源大手リオ・ティント(RIO.L), opens new tabや三菱商事(8058.T), opens new tabの投資子会社ジエコが所有している。
労組は約2400人が加入する強力な「ユニオンNO.1」で、最近の銅価格高騰に伴って急増した企業利益の分配率拡大を要求している。ストは、交渉が決裂する数時間前に決行が宣言されていた。
BHPによると、最低限のサービス態勢確保と非組合員の労働継続を可能にする事業継続計画(BCP)を発動し、操業を続けている。ただ、鉱山の稼働率がどの程度低下したのかは明らかにしていない。
同鉱山では2017年にもストが発生。生産を直撃し銅価格が世界的に上昇した。ただ、足元の市場についてアナリストらは、迅速な解決への期待に加え、銅の最大消費国、中国の需要減少が銅価格への影響を和らげて落ちついた値動きを保っていると話した。
米金融大手ジェフリーズの金属・鉱業アナリスト、クリス・ラフェミナ氏はチリの他の鉱山に争議が連鎖した場合は「市場に影響が及ぶ可能性がある」と述べた。
事情に詳しい関係筋によると、同鉱山では、鉱石の破砕などで銅品位を高めた銅精鉱の約60─70%が中国に輸出されている。仮に供給が止まると、世界の精錬銅の半分を生産する中国の銅製錬所サプライチェーンが深刻な影響を受けかねない。
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