
電気自動車(EV)の開発・製造に参入した電子機器受託製造大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、4月9日に東京でEV事業の戦略説明会を開催することが分かった。写真は同社のロゴ。台北で2024年10月撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)
[東京/台北 27日 ロイター] – 電気自動車(EV)の開発・製造に参入した電子機器受託製造大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW), opens new tabが、4月9日に東京でEV事業の戦略説明会を開催することが分かった。すでに三菱自動車(7211.T), opens new tabにEVを供給する計画を進めているが、同社以外の日本勢との協業拡大を目指す。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。関係者の1人によれば、説明会にはEV事業の最高戦略責任者を務める関潤氏が登壇する。日本の主要な完成車・部品メーカーを招待し、事業の内容や方針を詳述する。関氏は日産自動車(7201.T), opens new tabの副最高執任者(COO)からモーター大手のニデック(6594.T), opens new tab(当時は日本電産)の社長に転じ、23年に鴻海へ入社した。同関係者らによると、鴻海はすでに車両の供給を決めた三菱自以外に、ホンダ(7267.T), opens new tabや日産自動車(7201.T), opens new tabなどとの協業も模索。今回の説明会を通じて日本でさらなる需要開拓を狙う。鴻海との協業が広がれば、世界をリードしてきた日本の自動車産業にとって大きな節目となる。米アップル(AAPL.O), opens new tabのスマートフォン「iPhone」など電子機器の受託製造で成長してきた鴻海だが、19年にEV事業への参入を表明。次世代事業の柱の1つとして強化しており、関氏の起用のほか、オハイオ州にある米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabの元工場を22年に米新興企業ローズタウン・モーターズ(23年に破産法適用を申請)から買収した。20年には台湾自動車大手の裕隆汽車(ユーロン)(2201.TW), opens new tabと、21年には中国自動車大手の浙江吉利控股集団とそれぞれ合弁会社を設立。ユーロン傘下の高級車ブランド「Luxgen(ラクスジェン)」などを主要顧客としてEVを供給している。
日本企業との協業は三菱自が初めて。台湾の調査会社トレンドフォースのアナリスト、キャロライン・チェン氏は「これまでの協業、合弁事業、買収と異なり、(三菱自からの)具体的な受注は、高い経験が重視される自動車業界で鴻海の製造能力が認められたことを意味する」と指摘する。「三菱自のブランド力の高さがこの協業の知名度を高める」と話す。
関係者の1人によれば、三菱自は鴻海から供給を受けたEVを自社ブランドで販売する。来年中にオーストラリアとニュージーランドに投入。電動車の品揃えを補完し、現地の環境規制に対応する。別の関係者によると、三菱自は台湾にも投入する。
鴻海の広報は、4月に開くEV事業戦略説明会、三菱自との協業についてコメントを控えた。三菱自の広報は、「当社が発表したものではない。当社は持続的成長に向けて今後もさまざまなパートナーと協業の可能性を模索していく」とコメントした。
(白木真紀、Wen-Yee Lee、Yimou Lee 編集:久保信博)
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