トランプ米大統領は世界貿易と戦後の国際安全保障のコンセンサスを既に覆しているが、今度は中央銀行の業務を混乱に陥れつつある。

  金融政策当局者はホワイトハウスの政策の紆余(うよ)曲折で方向性を失いつつあり、市場では利下げ期待が世界的に後退。中銀はもはや「マクロ政策の主導者やリズムキーパー」ではなく、連邦議会や行政府、外交の舞台での出来事に道を譲る追随者と化しているとマッコーリーのストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は指摘する。

  トランプ氏による相互関税賦課まで2週間となった19日、米金融当局は政策金利の据え置きを決め、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は見通しの不確実性を強調した。イングランド銀行(英中銀)は20日、利下げバイアスを後退させた。スウェーデン中銀は国際情勢の複雑さを理由に金融緩和サイクルが終了したと宣言した。

  欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、クノット・オランダ中銀総裁は「金利が今後どう動くかを予測するのは非常に難しい」と指摘。関税や報復措置に加え、欧州全域でのインフラ・防衛支出増加により、ユーロ圏のインフレ率が上昇するのか下落するのかを予測する難しさに言及した。

  差し当たり、中銀にとって最も安全な道は政策を凍結しておくことだ。先行きが不透明であるほど様子を見るのが得策となる。

  アリアンツ・トレードの上級エコノミスト、マキシム・ダルメ氏は「貿易政策の不確実性の高まりは、経済活動を大幅に弱体化させるリスクがあるため、中銀には重要な懸念事項となっている」と指摘。「貿易政策の不確実性の高まりと高インフレという厄介な組み合わせで、中銀は難しい立場に置かれている」と述べた。

 

原題:Central Bankers Move Slowly Through Fog of Trump’s Trade Wars(抜粋)

WACOCA: People, Life, Style.