認知症にならないためにできることはあるのか。薬学者・脳科学者の杉本八郎さんは「優れた認知症予防効果を持つ物質がポリフェノールだ。赤ワインにたくさん含まれていることは有名だが、実は日本人になじみが深い食べ物や飲み物にも含まれている」という――。


※本稿は、杉本八郎『82歳の認知症研究の第一人者が毎日していること』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。


夕食

写真=iStock.com/byryo

※写真はイメージです



ポリフェノールは認知症予防で大活躍

認知症予防に効く物質として注目しておきたいのは、ポリフェノールです。


ポリフェノールとは、多くの植物が持つ、紫外線や害虫、有害微生物などのストレスから身を守るための「抗酸化物質」の総称で、高い「抗酸化作用」のみならず、その多くにはアミロイドβの凝集抑制作用があることも確認されています。


つまり、ポリフェノールは、「抗酸化作用」と「アミロイドβ凝集抑制作用」という認知症を予防するための2つの重要な働きを併せ持つ、極めて優れた物質なのです。


一口にポリフェノールと言っても、自然界には5000種以上ものポリフェノールが存在します。そして私たちの身近にある食品にも良質なポリフェノールを含むものがたくさんあり、どれも優れた抗酸化作用をもつので、日々の食事に積極的に取り入れていくといいでしょう。


抗酸化作用で脳がイキイキするのは確か

なお、「ポリフェノールの抗酸化作用によってアミロイドβの凝集が抑えられる」と書かれた記事が散見されますが、厳密に言うとそうではありません。


抗酸化作用によって血管が丈夫になり、脳の血行が良くなれば、脳の活性は上がります。それによってアミロイドβの排出が促進される効果が期待できるのは確かですが、アミロイドβの凝集抑制効果というのはそれとはまったく別の作用です。


抗酸化作用はあくまでも活性酸素を除去する作用のことであり、アミロイドβの凝集抑制作用ではないことは覚えておいてください。


もちろんポリフェノール以外にも、認知症予防の効果が期待できる物質はたくさんあります。ここからはポリフェノールも含め、認知症予防に効くとされる物質が具体的にどういう食品に含まれているのかについてお話ししていくことにしましょう。


WACOCA: People, Life, Style.