ニューヨーク時間12日の外国為替市場では、円がドルに対して約1週間ぶりの安値。これで3日続落と、この1カ月余りで最長の下げ局面となっている。トランプ米政権が日本に対しても関税を賦課するとの懸念が強まっていたところに、市場予想より強い米消費者物価指数(CPI)の発表が重なった。
円は一時、前日比1.5%安の1ドル=154円80銭を付けた。1月の米CPI統計が市場予想を上回る伸びとなったことを受けて、金利スワップ市場では次回の米利下げ予想が発表前の9月から12月に後退。年内は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げ1回にとどまるとの見方が強まった。
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これを受けて円は対ドルでの下げ幅を拡大し、昨年12月19日以来の大幅な下げを記録した。米国債利回りが大きく上昇するのに伴い、円売り・ドル買いが優勢となった。
ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏はCPIについて、「どこからどう見ても強い数字だ。米金融当局を苦しい立場に追い込み、利下げをさらに後ずれさせる」と指摘。
「今年下期に利下げの機会が訪れると考えるが、米経済が完全雇用に近い状態にとどまれば、利下げのタイミングは年末に一段とずれ込む可能性がある」と述べた。
TDセキュリティーズの通貨ストラテジスト、ジャヤティ・バラドワジ氏は「米政策金利が最終的にどの水準になるかを巡っては不透明感が強く、その不確実性の幅は他の主要国・地域よりずっと大きい。それが金利差を拡大させている」と指摘。「円は今週155円を試す可能性がある」と述べた。

日米の金利差は長年、円に対する重しとなってきた。トランプ大統領が米国に輸入する全ての鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと表明したことで、円に対する向かい風はさらに強まった。
武藤容治経済産業相は12日、トランプ氏が署名した鉄鋼・アルミ輸入への25%関税について、日本企業を除外するよう申し入れたと明らかにした。
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オーバーシー・チャイニーズ銀行(シンガポール)の為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「円安は相互関税の不確実性によるもの」だとの見方を示す。「日本が打撃を受けるリスクがあり、円の短期的な見通しを複雑にする可能性がある」と述べた。
円安が一段と進行した場合は、日本当局が警戒を強め得る。当局はこれまでも為替市場の行き過ぎた動きをけん制してきた。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場は、日銀が7月までに利上げをする確率を76%織り込んでいる。日本銀行の植田和男総裁は衆院財務金融委員会で12日、利上げ幅はその時々の経済・物価・金融情勢次第だと説明した。
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米国債利回りは年限全般で少なくとも8bp上昇。金融政策見通しに最も敏感な2年債利回りは一時10bp近く上昇して4.38%。10年債利回りは一時12bp上昇し約4.66%を付けた。この日実施された米10年債入札は需要の弱さを示した。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「CPIがホットな内容であることは明らか」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)にとって「データは現時点で全く協力的ではない」と述べた。
ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏(ロンドン在勤)は「米インフレ指標が予想よりずっと強かったため、ドル・円のショートポジションを一段と削減する動きが見られている」と指摘。「日銀の利上げは米国の景気動向次第であり、この日の米CPIデータは日銀にとって前向きな材料となるはずだ」と述べた。
原題:Yen Drops to Weakest in a Week Amid Trump Tariff Plans (2)、Traders See Just One 2025 Fed Rate Cut After Hot Inflation Data、Dollar Jumps as Hot CPI Points to Longer Fed Pause: Inside G-10(抜粋)
(最後から3段落目に米10年債入札結果を追加して更新します。更新前の記事で第1段落を約1週間ぶりの安値に訂正しています)

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