米金融当局は29日、金利据え置きを決めた。これは利下げの一回見送りというよりも、むしろ長期の停止となりそうだ。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、当局として利下げ再開まで時間をかけると予想する幾つかの理由を挙げ、予見可能な将来にわたり金利を据え置く方針を明らかにした。

  具体的には、移民対策や関税、財政政策、規制などを巡るトランプ大統領の政策が金融当局の経済見通しにどのような影響を及ぼす可能性があるかについて、高度の不確実性の存在を指摘した。

  「委員会はどのような政策が実施されるかを見守る姿勢だ」とし、「そうした政策が経済にどのような影響を及ぼすのかについて、妥当と考えられる評価を下す前に、政策自体が明瞭になるのを待つ必要がある」と述べた。

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Fed Chair Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision

パウエルFRB議長

Photographer: Al Drago/Bloomberg

  米経済の力強いパフォーマンスや労働市場の安定も追加利下げを手控えることを可能にしている。パウエル議長は50分の会見で利下げについて、「急ぐ必要はない」との考えを5回繰り返した。

  フェデラルファンド(FF)金利据え置きの決定で、米国債利回りはいったん上昇した後、パウエル議長の会見を受けて低下した。S&P500種株価指数は下落して取引を終えた。

トランプ政権との緊張

  利下げ停止はトランプ氏との間で緊張を生むことになりそうだ。同氏は政権1期目に利下げを求めて頻繁に圧力をかけたほか、先週には金利についてパウエル議長よりも自分の方が熟知していると主張していた。

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  また、29日のFOMC決定後には、「ジェイ・パウエル氏と連邦準備制度はインフレで自分たちがつくり出した問題をストップさせるのに失敗した」と、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

  FRBの報道官はトランプ氏の投稿についてのコメントを控えた。

  パウエル議長はトランプ氏の計画を巡り、やがてクリアになるだろうと述べ、一部不透明な分部があっても憂慮しない姿勢を表明。「恐らくさらなる不確実性が想定されるが、一時的なものだろう」とし、「米経済規模は非常に大きく、政治的影響は一部あるものの、われわれは静観するつもりだ」と語った。

  このほかの金利据え置きの理由として、パウエル議長は米経済が全体として「良好」である点を強調するとともに、当局として利下げ再開の前にさらなるインフレ鈍化を確認したい考えを示し、労働市場の予期せぬ悪化があれば当局に利下げを促す可能性があることに言及した。

  米金融当局者はインフレ率を2%の目標に確実に落ち着かせるため、景気減速のための下降圧力を多少維持したい一方で、現行の金利水準がどの程度、景気抑制につながっているか探っている段階にある。

Fed on Pause

Powell wants to see serial readings suggesting further inflation progress

Source: Bureau of Economic Analysis

  パウエル議長は、現在の政策金利が引き続き、景気の加速も減速も招かない中立金利を「有意に」上回っていると話した。ただ、中立金利の正確な水準が不透明であることも、将来の金利調整に時間をかける理由だと説明した。

裏付け必要

  会見では3月18、19両日の次回FOMC会合での利下げの可能性について記者団から質問があり、パウエル議長は利下げを急いでいないことを強調した上で、インフレ抑制で一段の進展を示す「一連のデータ」を目にしたいと答えた。

  議長のこうした発言や他の金融当局者の最近のコメントからは、当局がしばらくの間金利を据え置く可能性がうかがわれる。金利先物市場の動向に基づけば、投資家は年内計2回の米利下げの可能性を織り込んでおり、6月までに1日目があると見込んでいる。

  ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「パウエル議長は金利調整の第1段階が終わったことを非常に明確に示唆した」とし、「当局者は急いで利下げの第2段階に入るつもりはない」との分析を示した。

原題:Powell Signals Fed on Hold as Trump Economic Policies Take Shape(抜粋)

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