昨日、歌舞伎座第三部、市川海老蔵「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」を観ました。この作品は、今までの4時半からの公演でも9時近くまであった通し狂言。今は3部制となっているので、一部割愛しながらも、5時40分からで、8時半過ぎまでありました。
この演目には、単独でも上演される「毛抜」と「鳴神」が含まれていて、あとの3役は悪事の発端となる早雲王子と、外見は若いけれど、100歳は超えている女好きな陰陽師安倍清行、そして、最後に浮遊して登場する不動明王です。
早雲王子と安倍清行は、最初の場面で登場します。早雲王子は眉毛キリキリとして悪党の迫力ある美形ですが、安倍清行はお公家さん姿で、眉は赤っぽくてフニャフニャしてます。それがすごい早変わりをするのですね。眉は何か巻いているのかと思いましたが、そうも思えず。不思議でした。
「毛抜」「鳴神」と続いたあと、早雲王子の悪事が露見し、追ってに囲まれ立ち廻りとなるのですが、おこでハプニングが起こりました。
ゆったりとした立ち廻りで、海老蔵が刀を動かしている時に、黒子が、袖の紐を引っ張っていました。そうすると、袖の下が丸くなり、紐がタレンとたれている。動く海老蔵に合わせて、黒子も動いているけど、アセアセしているのがわかる。海老蔵もチラリと見たりしながらも、刀を振り回しながら花道へ。黒子はハケるしかない。海老蔵は立ち廻りをしながらも、袖をひっぱったりするけれども、どうにもならない。そのまま階段を上り、一度、演技を中断しました。そして、袖のひもを解く作業に集中。最初、紐をひっぱたけど、どうにもならず、観ているほうもドキドキ。そうしたら、ほどくような動きをして、前の袖が開きました。まずは、「ホッ」。そこで階段を上り始めて、敵の追手が袖を引っ張って、後ろもペロンと開きました。階段の上まで昇り、多分、一番上の逆さにぶら下がる役の人が、もう片方の袖のしかけの紐をぬいたのでしょう、そちらはパッと衣装が返りました。
ホント、緊張しました!花道の立ち廻りもピークだし、「よかった!」という解放感で、本舞台での立ち回りはさらにドキドキしました。海老蔵もホッとしたでしょう。
ブログを見るとタイトルが「今日は色んなトラブルからハプニングありにて大変でした。」で、本文で
「まさか梯子の上で 糸がごちゃつくとか ないっす」7
とありました。でも、「案外冷静に自分で乗り超えられて」とあり、ほどいている時が思い浮かびました。本当によかったです。
お三味線の曲は、まず、「毛抜」から粂寺弾正が花道から登場する時の「桃の木三重」。おれは、長唄の「木賊刈り」の最初に使わているし、立川談志師匠の出囃子にもなっています。
次は「鳴神」で、立ち回りに使われる「石段合方」を弾きます。雲の絶間姫が、鳴神上人を色香で落として酔わせたところで、干ばつの原因になっている注連縄を刀で切る緊迫感のある場面です。
最後は、衣装のトラブルがあった早雲王子の立ち廻りの時の曲で、長唄「楠公」のセリ上がりの曲です。
文化譜付き
#海老蔵#歌舞伎#ハプニング#毛抜#鳴神#三味線#Kabuki
日本の状況芸能三味線の弾き方長唄元禄花見踊り吾妻八景
WACOCA: People, Life, Style.