東芝の取締役会をまとめる永山治取締役会議長の再任を問う株主総会で、企業と株主が真っ向から対立し、再任案は反対多数で否決されました。
東芝は、綱川智CEOを暫定の取締役会議長に選定したと発表しました。
取締役会議長の続投を株主側が阻むのは極めて異例です。
発端となったのは、去年7月の株主総会に関する報告書。調査した外部の弁護士は「公正に運営されたとは言えない」と結論付けました。
当時、東芝の株は、外国人投資家が6割以上を保有。そのなかには、いわゆる“モノ言う株主”も含まれていて、東芝側に社外取締役の人事などを提案しました。
報告書によりますと、東芝は経済産業省と一体となって提案を取り下げるように画策したとされています。
報告書には、モノ言う株主の一つ『エフィッシモ』をめぐる生々しいやり取りが記載されています。
東芝:「しばらくの間は経済産業省にたたいてもらう」「経済産業省からの(エフィッシモに対する)コンタクトは想定以上に効果が出ている」「エフィッシモが少しびびってきている」
さらに株主総会が迫ってきた時期には、株主総会の票読みの情報を伝えるなど、官邸とも緊密に連携していた様子がうかがえます。
経産省:「明日、朝一で別件と一緒に丘の上に行きます」
報告書によりますと「丘の上」とは「総理官邸」を指す隠語だといいます。
経産省:「丘の上には、いまだ不明な投票があること、予断は許さないと、厳しめで上げています」
車谷前社長が、当時官房長官だった菅総理に直接状況を説明したこともあったといいますが、菅総理自身は否定しています。
一方、経産省は、原子力発電所や防衛関連など日本の安全保障にとって重要な技術を数多く保有している、東芝のために国が動くのは当然だと主張しています。
梶山経済産業大臣:「経産省としては、東芝は日本にとって重要な企業であると認識。東芝が担っている重要な事業、技術の安定的な発達を図るもの。経産省の政策として、当然のことを行っているまでであります」
経営の立て直しを主導する永山氏の退任で、東芝の混乱に拍車がかかるのは避けられません。
データサイエンスが専門の慶応義塾大学・宮田裕章教授に話を聞きます。
(Q.今回の東芝の問題をどうみていますか?)
この問題は異例な事態ですが、これから、どの日本企業にも起こり得ると思います。活動は世界中で活発になってきている“モノ言う株主”の主張が大きく変わり始めています。
短期の利益を確定するために要求するのではなく、成長を妨げるような古い体質ではないかとか、環境問題に取り組んでいるのか、持続可能な企業なのか、こういったかなり真っ当な問いを投げ始めています。
つまり、企業価値を高めて、変化を求めていくという潮流が世界中で始まっていて、その流れが日本にもやってきたことが今回の問題につながっています。
これは東芝に限ったことではなく、これから日本の企業に問われていく問題だと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
WACOCA: People, Life, Style.