訳詞 松原史明
作曲 ミシェル・ルグラン
1972年11月15,16日
「私の好きな歌」~倍賞千恵子リサイタル~
東京郵便貯金ホールにて収録

 最近、WOWOWで【死ぬまでに見たい映画1001本】の中で、フランス映画シェルプールの雨傘が放送されましたので、初めて見ました。全編音楽のみで他の台詞が一切ないミュージカル映画でしたが、70過ぎのじじいにはストリーも冗長、いささか退屈な映画でした。でもカトリーヌ・ドヌーヴの美貌とミシェル・ルグラン作曲の主題歌は秀抜ですね。
 倍賞千恵子さんはこの曲は昭和47年の東京郵便貯金ホールでのリサイタルで歌われているだけだと思います。この時に歌われた「鯨は泣いている」も貴重ですね。訳詞した松原史明さんはこのリサイタルの構成担当もされており、アルバムの解説で以下のように語っておられます。
 
 しかし、まあ、リサイタルって、たいへんなことです。まず、20曲近い新しくおぼえる曲がある、前から知っている曲のこまかい点まで思い出し、台詞をおぼえ、曲の順番をはっきりさせる・・・ 全体の流れの中で、この曲は、なぜこのところにあるのか、どんな具合に歌われればいいのか、前後の曲とのつながり、喋りのもって行き方・・・ 複雑なパズルなんです。そのパズルを関係者全員で解いて行くのが、ステージの仕事、リサイタルだといえるでしょうか。ただ、そのパズルをどう解いたか証明できるのは、彼女1人だけ・・・ 幕が開いたら、舞台に立っているのは彼女だけなのです。楽しいけれど孤独、気分的にたいへんな重荷を背負ってスポット・ライトを浴びる・・・ 根性が無ければ出来ることではありません。
 今回のパズルは・・・ まず、ベースに、いつも彼女が歌っている、聞いて安心見ても安心という「日本の良い歌」を持って来ました。何度聞いても良い歌は良い。そして、暖かいハートが感じられる、ほのぼのと雰囲気。
 それからポップス・・・ 多分彼女が、こんなに多くのポップスをステージで歌うのは、はじめてだったでしょう。歌には一曲一曲にドラマがある。そのドラマの範囲を、思い切りひろげてみよう・・・ というので、シャンソンからロックまで、巾広く取り上げました。選んだ基準は、良い歌であること、倍賞千恵子に歌わせたい曲であること・・・。
 それに加えて、名コンビ渥美清と演ずるコント「幕間にちょっと」 歌って踊って芝居が出来る彼女の特質を生かして、ミュージカルの一シーンを再現した「キャバレー」
 この2つがポイントになって今回のリサイタルのパズルは出来上がりました。

倍賞千恵子応援ページ
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