東京、大阪など4都府県に出される「緊急事態宣言」で、
どこまで感染を抑えられるのか。
そして来月11日で、本当に解除できるのか?
感染制御学が ご専門の堀賢(ほり さとし)さんにお聞きします。

<板倉>
きょうの全国の新規感染者は5606人。
「緊急事態宣言」が出される、兵庫は過去最多の635人、
大阪は1097人、京都は174人で、東京は876人でした。
そして心配なのが、変異ウイルスです。
感染者全体に占める 変異ウイルスの割合ですが、
東京では、「E484K」とイギリス型の「N501Y」を
合わせて9割と推計され、大阪では8割が、変異ウイルスの感染者です。

<高島>
堀さん、ここまで変異ウイルスが広がっている状況をどう見ていますか?

<堀さん>
今回の変異ウイルスは、感染力が非常に強いことが特徴で、
急速に従来株から置き換わっている。今後2カ月ぐらいで
完全に置き換わってくると思います。

<高島>
そうした中で、明日から始まる3回目の「緊急事態宣言」。
堀さん、このタイミングはどう思いますか?

<堀さん>
感染制御は強く・短く・素早くが原則。大阪は、もともと対応が遅く、
まん延防止重点措置の2週間で変異株が急速に拡大し、遅きに失した。
東京は何とか未然に手を打つことができた。

<高島>
では最初のテーマ、「緊急事態宣言」の効果を見ていきましょう。

<板倉>
今回の特徴は、「酒類の提供を止める」という点です。
飲食店は、酒の提供をする店は「休業要請」。
酒の提供をしない店は、「午後8時までの時短要請です」
また、カラオケを提供する店も休業要請です。
さらに、百貨店や映画館など
1000平方メートルを超える大型商業施設にも「休業」を求めます。
そしてプロ野球やJリーグなどイベントは、原則、無観客が要請されます。

<高島>
まず飲食店ですが、お酒を提供するか、しないかで対策が分かれますが、
この効果をどう思われますか?

<堀さん>
酒が入ると声も大きくなり、マスク会食も徹底できなくなるので、大多数には
効果があると思いますし、「感染拡大を防ぐ」という覚悟は感じます。
しかし路上飲み、宅飲みという抜け穴はあるんです。

<高島>
宅飲み、お家飲みで飲むとなりますとより密になりますから、その辺は心配ですね。
ただ、路上飲みの対策として、東京は都立公園の一部閉鎖や、
よる8時以降、街灯 以外の明りを消すよう求めるなど
対策を行いますが、その効果をどう見ますか? 

<堀さん>
そうなると今度は、
コンビニの前に集まって「コンビニ前呑み」がでてくるかも知れません。
でも、ネオンを消すなど非常に強い覚悟を感じるが、強制力のない注意喚起ということで、
見回りをしても従わない者は必ず出てくるでしょう。
このようないたちごっこの防止には、徹底的に路上飲みはリスクがあるよということを教育し、
「路上飲みは危険だ、ダメだ」という同調圧力を高めていくしかない。

<高島>
では、クラスターが出ていない商業施設への休業要請、
イベントの無観客開催の効果をどう思われますか?

<堀さん>
Jリーグやプロ野球の実績を見れば、
そこまでしなくていいという声もあるが“外出をさせない”
という強い意思表示にはなると思いますが、
本当はロックダウンしたほうがいいが、日本では法的理由などで無理なので、
出来る範囲で、最大限やれることはやるという強いメッセージだと思いますね。

<高島>
外出してはいけないんだよっていうそのメッセージというのは、
非常に強く込められていると思いますけど、イベントなどでここまでやるには
根拠というのが見えてこないと不満がたまってしまうのかな
という印象も一方ではあります。
そして、前回の「緊急事態宣言」では、飲食店は「時短要請」をやれば
感染は抑えられるということで、休業要請はしなかった。
ところが今回は、飲食店だけでなく大型商業施設などにも「休業要請」。
なぜ今回は、ここまで厳しくしなければいけない状況になったのか、
その背景というのは、どうお考えですか。

<堀さん>
変異株というのは感染力が強いというのは先ほど申しましたけども、
イギリスやフランスではロックダウンしてもオーバーシュートしてしまった。
日本の対策はまだまだ甘いと言わざるをえないですね。
これまでの対策は、ひたすら感染症から逃げ回っているだけでしたから、
感染症にかからない具体的な方法、例えば飛まつを浴びない会食の仕方とかですね、
エアロゾルを吸い込まない生活の仕方などの具体的方法を国民に向けて
映像で発信していくべきだと思います。

<高島>
続いてのテーマ、宣言の期間についてです。
今回の宣言の期間は、明日から来月11日までです。
そして、解除の基準については、政府分科会の釜萢さんは、
「東京は、新規感染者が500人を下回り、
医療提供体制がステージ3に至らないと解除はしない」と話し、
一方、尾身会長は「延長もありえる」としています。
堀さんは、どうなったら解除すべきだとお考えですか?

<堀さん>
ここできちんと感染者を下げておかないと、またすぐに第5波が来てしまうと思います。
ステージ2相当、新規感染者数で言うと、東京で100人未満、
大阪では60人未満を目指してほしいと思います。

<高島>
ここでぐっと下げるというのが、やはり1つ大事な目標なのかなと思いますよね。
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