電子部品に使われる半導体が世界的に不足し、私たちの生活の様々な面に影響が出ています。自動車の生産が減り、先月の新車販売台数は過去最低に。さらに、クリスマス商戦にも影響が出そうです。

 ファミリー向けを中心に、お値打ちな価格の中古車が並ぶ、愛知県の中古車販売店「グッドスピード東海名和店」。去年ごろから、“困った事態”になっています。

 「新車が売れない傾向は去年のコロナ以降続いています。車を買い替える時は、これまで乗っていた車を売りに出されて、それが中古車市場に流れてくるんですが、ここが発生しないので、中古車の流通がかなり減っている。需要に対して供給が減っているから、どうしても中古車の相場は上がってしまうという状況になっている」(グッドスピード松井靖幸さん)

 中古車の流通が減った原因は、新車販売の減少です。

 半導体不足により、自動車メーカーが生産を減らした結果、自動車の業界団体によりますと先月、国内で販売された新車の台数は統計が始まった1968年以降、10月としては過去最低となりました。

新車販売が減れば中古車も減る

 当然、新車の販売が減れば、中古車市場に回ってくる台数は減るため、買い求める人が多ければ、価格が上がってしまいます。この店では、以前と比べ、平均的に1割ほど値上がりしているといいます。
 
 「相場は上がっているし、仕入れづらくなっているというのは違いないが、中古車を買いたいというお客様もたくさんいるので、引き続き仕入れの仕方を工夫改善しながら車をそろえて販売をしていきたい」(グッドスピード松井靖幸さん)

 「我々としては、新車の生産が戻ってみなさんに新車を買ってもらったほうが、中古車流通で車は回ってくるので、新車販売は早く回復してくれたほうがありがたい」(グッドスピード松井靖幸さん)

 車の生産に大きな影響を及ぼす半導体。電子回路が詰め込まれたチップで、ほかにもパソコンやスマホ、液晶テレビなどのデジタル家電、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電など、身の回りのあらゆる製品に使われています。

 しかし、コロナ禍で各地の半導体関連工場が操業を停止。一方で、テレワークのためのパソコンやカメラなどの需要が拡大したことから、世界的に半導体が足りない状況となったのです。

 こうした中、近づくクリスマス商戦。任天堂は、今年度「スイッチ」の販売計画を2550万台と見込んでいまいましたが、2400万台に引き下げました。

給湯器がほぼない状態…

 さらに、冬の生活に欠かせない、こんなものも。

 「給湯器がほぼない状態…異常事態ですね」(アンシンサービス24 小林忠文社長)

 名古屋市守山区にある「アンシンサービス24」。

 東海地方を中心に給湯設備の工事などを行っていますが、会社によると、これから冬の時期に大活躍する給湯器の在庫がない状態だといいます。

 理由は給湯器に使われている半導体。大手給湯器メーカー「リンナイ」や「ノーリツ」に取材すると、2社とも「半導体の供給不足」などが生産に影響し、納期が大幅に遅れているといいます。

 名古屋市内の他の業者も給湯器の在庫が少ないということで、問い合わせは例年よりも増えているといいます。

 「(客からの問い合わせに)正直に無いです、と話します。通常だと、商品がメーカーにあっても、だいたいいつぐらいに納期ですと回答が来るのですが、それすらないので、お客様と何も話ができない状態です」(アンシンサービス24 小林忠文社長)

 半導体をめぐる状況は、今後、どのような見通しなのでしょうか。中京大学で客員教授を務める内田俊宏さんに聞きました。

 「半導体不足にもいくつか種類があって、東南アジアがロックダウンされていたことによって半導体を生産できない、生産ラインをストップしていた影響というのは、ロックダウンが解除されるとまた生産量が増えてくるということになると思います」(内田俊宏さん)

 ただ、今後、自動車の電動化や高速通信5Gに関連してさらに需要が高まるため、当面、半導体不足が続くとみられています。

 「供給量が爆発的に増えないと、この世界的な半導体不足は解消しないわけですが、5G関連の投資というのは20年代の中盤ぐらいまでは続くとみられていて、そういう意味では落ち着く気配が当面ないというのが実情です」(内田俊宏さん)

 一方で家電製品について、メ~テレが大手家電量販店などに半導体の影響を確認したところ、「メーカーの中で在庫のないものがあったとしても、家電量販店では多くのメーカーの製品を扱っているので買い物客にとって現状は、ほとんどない影響がないと思われる」ということでした。

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