究極の2択!取ったら危険「7六桂」!
一世一代の大博打!
メディアも賑わした、藤井聡太四段時代の最も有名な大逆転!

2017年6月2日 第43期棋王戦予選 藤井聡太四段 vs 澤田真吾六段(指し直し局)
主催:共同通信社・日本将棋連盟【主催許可済】

【補足】
121手目「▲7六桂」の王手には、△同金と桂を取るか△7五玉とかわすかの2択がありました。正解は後者の「△7五玉」。△7五玉とかわされていたら、後の29連勝はありませんでした。

「▲7六桂」を取りたくなる理由は、読みの部分と合わせてその心情にもあると思います。「▲7六桂を△同金と取り、その取った桂を△5五桂(126手目)と打って一手勝ち出来るのでは」というのが澤田六段のシナリオだったと思います。確かに▲7六桂を△7五玉とかわせば後手が勝ちになる展開ですが、それは結果論であって、今までずっと王手をかけられ、頓死をくらうかもしれない王手を1分将棋の中でいつまでも続けられるのは耐えられないので(ずっと逃げ回る心理になります)、無理にでもどこかで反撃に転じたくなるというのが人情というものです。それが本譜△4六角(124手目)からの攻撃(B面攻撃)でした。将棋は相手の玉を詰ます競技。相手の攻めを切らす競技ではないので、詰ます順をまずは考えます。いつまでも連続王手をかけられるのは、例えその先に勝ちがあっても気持ち悪いものです。

121手目「▲7六桂」に代えて▲5五銀も藤井四段考えたようです。しかしこれだと△7五玉▲6六銀打△8五玉(代えて△同とは▲同銀の王手金取りなので選ばない)と分かりやすい必然手が続き、逆転には至らないと判断。将棋ソフトだと▲5五銀が最善手。しかし「▲7六桂」こそが相手を惑わす唯一の勝負手で、そこに藤井四段の勝負師としての天性を感じます。

143手目「▲7五金」が気品を感じるしゃれた手。5手前に自分で打った金を捨てて、▲6五馬の王手龍取りを実現指せています。相手玉ではなく8七の龍を取ることにベクトルが向いている。137手目▲5五角成~▲6五金の段階からあらかじめそういう組み立てにしないと、なかなか気が付かない”クール・ビューティー”な一手。この手だけで一本の動画を作れるので、本動画では簡単に述べました。

WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version