仙台放送では東日本大震災の月命日にあたる毎月11日に、被災された方にお話を伺い、その想いを伝えています。12月13日は妻が、未だに行方不明となっている宮城県石巻市の尾形勝寿さんです。
石巻市の尾形勝寿さん(76)。月命日、慰霊碑の前でいつも、願うことがあります。
尾形勝寿さん(76)
「手を合わせて…本当に手を合わせるほかないんです。早く帰ってきてくださいよと」
尾形さんの妻、きみ子さん。10年前のあの日、津波に巻き込まれいまだ、行方が分かっていません。
尾形勝寿さん(76)
「私には優しかったですよ。面倒見が良くて。結構友達が多かった。ちょうど、私のお家がここにあった」
震災前、この場所にはラーメン店・「味平」がありました。尾形さん夫婦が2人3脚で営業していた人気のお店。しかし、津波と火災に巻き込まれ店舗は鉄骨だけに…。尾形さんは流れ着いたがれきにしがみつき難を逃れましたが、隣にいたはずのきみ子さんの姿はありませんでした。
尾形勝寿さん(76)
「早くなんでもいいから見つかってほしい。それが願いというか思い」
きみ子さんの手がかりを探し回る日々。会うことのできないきみ子さんを思う日々。そんな時、店舗の近くであるものを見つけました。やきそば用のヘラです。きみ子さんが得意の「石巻やきそば」を作るときに愛用していたものでした。
きみ子さんが「また作って」と伝えてくれたのかもしれない。そう思った尾形さんはキッチンカーを購入。震災後、様々なイベントに出店し全国各地できみ子さんのヘラで作った「石巻やきそば」をふるまいました。
尾形勝寿さん(76)
「うん…しょっぱい!全然違う、なんか違うんだよな」
きみ子さんと同じ味には今も、たどりつけません。それでも、尾形さんは作り続けます。
尾形勝寿さん(76)
「震災でもう全部終わりだと思っていたんですよ、商売も何もかも諦めて。だけどこのヘラが見つかったので、もう1回頑張った姿を見せたい。なかなか母ちゃんの味には近づけないけど頑張っていくほかないので、何年やれるか分からないけど頑張っていきたい」
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