強い感染力を持っている可能性も指摘され、日本でも確認された新たな変異ウイルス「ミュー株」。その特徴などについて専門家に聞きました。

「空港検疫でミュー株が複数の事例で確認されたということは、もうすでに国内に入ってしまったことを覚悟して、先を見越して準備した方が良いと思います」(愛知県立大学・清水宣明教授)

 今までにない感染拡大を見せる“第5波”

 最大の特徴は、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の感染が広がったこと

 そんな中、また新たな脅威も芽生えています。

「ミュー株がひどかった第3波は、1日の新規感染者数がだいたい3万人を超えていたし、 死者も1日700人を超えるときがありました」(コロンビア在住 松尾彩香さん)

 南米・コロンビアで1月に確認された、12番目の変異ウイルス「ミュー株」

 厚生労働省によると、これまでに成田と羽田の空港検疫で2人から検出されたということです。

 この2人は、6月にアラブ首長国連邦から入国した40代女性と7月にイギリスから入国した50代女性で、ともに無症状。ミュー株の感染者が日本で初めて確認されたケースです。

コロンビアは第3波の感染者の半数以上がミュー株

 ミュー株が猛威を振るったコロンビアに住む、愛知県出身の松尾彩香さんに話を聞くことができました。

「感染者は、だいたい30代が多かったと聞いています。若い方で集中治療室に入る人が多く、今回は『若者の犠牲者が多いから気を付けてください』という報道はありました」(コロンビア在住 松尾彩香さん)

 コロンビアでは今年6月。第3波を迎え、感染者が急増。その半数以上がミュー株だったとされています。

 30代など若い世代の感染も多く、未成年でICUに入ったケースもあったといいます。

 ただ、現在はワクチン接種が進んだことでピークアウトし、1日2000人程度にまで下がっているとのことです。

「ひどかったときは、政府も外出規制は敷いていたし、ただ6月半ばぐらいから『全て今まで通りに経済を回していきましょう』という政府の方針があったので、今はもう今まで通りの生活ですね。パンデミック前を思い起こさせるような。マスクはしていますが、外国からの観光客もたくさん入って来ています」(コロンビア在住 松尾彩香さん)

特に警戒すべき変異株は2つのカテゴリーに分類

 8月30日。WHO・世界保健機関は、ミュー株を「注目すべき変異株」に分類しました。

 WHOは現在、特に警戒すべき変異株を2つのカテゴリーに分類しています。

 「懸念される変異株」として、アルファ株・ベータ株・ガンマ株・デルタ株があります。

 デルタ株は日本でも猛威を振るい「感染力が強い」、「ワクチンの効果を低減させる」などの特徴を持つとされています。

 もう1つのカテゴリーが「注目すべき変異株」で、イータ株・イオタ株・カッパ株・ラムダ株、ミュー株があります。

 こちらは感染力やワクチンの効果に何らかの影響がある可能性が指摘されています。

 新たなミュー株にはどんな特徴があるのか。愛知県立大学の清水宣明教授に聞きました。

「ミュー株の特徴はまだはっきり分かっていません。まだ日本で感染した人も非常に少ないですし、これから感染が拡大するのかどうか懸念されている段階です」(愛知県立大学 清水宣明教授)

 Q. デルタ株よりも感染力が強いといった怖れはあるのでしょうか?

 A. 「他の諸外国で広がった場合、そこで広がったということは、従来株を押しのけて変異株が広がったはずなので、より感染力が強いか、生き残りやすいという何らかのアドバンテージがあったはずです」(愛知県立大学 清水宣明教授)

専門家「日本でも流行する可能性は否定できない」

 これまでに40カ国以上で発見されているミュー株。もしデルタ株以上に強い感染力をもっているならば、日本でも流行する可能性は否定できないといいます。

「もしも感染力が強くて広がってしまった場合、ワクチンの効果をより小さくしてしまう可能性はある。ただ重症化を防ぐ効果がワクチンにはあります。デルタ株でもその効果はかなり発揮されています。これからも変異株はいろいろ出てくるでしょう。その時に『最初の感染は抑えられない』『発症もなかなか抑えられない』かもしれないし『感染源になってしまうこと』も抑えられないかも知れませんが、『重症化を抑える』効果はかなり維持されると思います」(愛知県立大学 清水宣明教授)

 Q. 感染を完全に抑えられないとなると、引き続き、ワクチンを2回接種した後でも感染対策が重要ですね?

 A.「WHOが『パンデミックは終わりました』というような発表をするまでは、とにかく『うつさない』『うつらない』ことを継続していただく。マスクをしたり、換気を十分にしたりすることを生活の中の習慣、癖のようにしていただく。感染対策を生活に取り入れて、慣れていただくことがしばらくは必要だと思います」(愛知県立大学 清水宣明教授)

(9月7日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

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