大森立嗣監督が『まほろ駅前』シリーズに引き続き三浦しをんの原作を映画化した『光』。序盤に敷かれた伏線が回収されていく “気持ち良さ” は微塵も存在しない。最後の最後まで、私たち観客は激しい暴力の嵐の中に置き去りにされたままである。そして、そんな無意味にも見える狂気の連鎖のコアにいるのは、実はどこかの時点で狂ってしまった輔でも、輔によって本性をあぶり出されてしまった信之でもなく、全ての発端となった事件の当事者・美花である。短い出演時間の中でも強烈な印象を残す彼女を演じた長谷川京子へのショートインタビューを通じて、この映画の「異様さ」を感じ取っていただければと思う。

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