今年のノーベル物理学賞に、アメリカ・プリンストン大の上席研究員で、地球温暖化研究の先駆者として評価された日本出身の真鍋淑郎さんら3人が選ばれました。

 今年のノーベル物理学賞に選ばれたのは、▼アメリカ・プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さん(90)、▼ドイツのマックス・プランク研究所のクラウス・ハッセルマン教授、▼イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学 ジョルジョ・パリージ氏の3人です。

 賞の選考にあたったスウェーデン王立科学アカデミーは、このうち、真鍋さんの研究について、二酸化炭素の増加量が地表の気温の上昇にどのようにつながっているかを明らかにした、と評価しました。また、3人の研究が「複雑な物理システムの理解のために画期的な貢献を果たした」「我々の気候に関する知識が強固な科学的基盤に基づいていることを示した」と評価しています。

 物理学賞に選ばれた真鍋さんは愛媛出身で、1958年に東京大学大学院を修了後、アメリカ海洋大気庁の研究員となりました。当時、地球温暖化が現在のように世界的課題とはなっていない時代でしたが、真鍋さんは、その後40年にわたり気候変動の研究に携わり、コンピュータを用いて気候の変動を分析する研究分野を開拓。さらに、二酸化炭素濃度の上昇が大気や海洋に及ぼす影響を世界に先駆けて研究し、現代の地球温暖化予測の枠組みを築きました。この間、真鍋さんはアメリカ国籍を取得しています。

 1997年に帰国し、当時の科学技術庁の温暖化研究チームに着任、2001年からは再びアメリカに渡り、現在はプリンストン大学の上席研究員をつとめています。(05日20:29)

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