全国19の都道府県に出されていた“緊急事態宣言”と8県のまん延防止等重点措置が、30日ですべて解除されることが正式に決まりました。

宣言の解除後、飲食店については、1カ月をめどに、自治体の認証を受けた店は、午後9時までの営業。認証店以外は、午後8時まで。酒の提供については、各都道府県の知事の判断となっていて、東京都では、認証店に限り、4人以下のグループで午後8時まで、酒の提供を認めます。

イベントは、1カ月をめどに、定員の50%以内の制限は変わりませんが、観客の上限を最大1万人に拡大。旅行や出張など、県をまたぐ移動については、ワクチン接種が完了していない人などは、検査を推奨するとしています。

感染対策と日常生活の両立をどう図っていくのか。政府の分科会メンバーとして、宣言解除後の制限内容をまとめた川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長に話を聞きます。

(Q.飲食店やイベントは、1カ月の経過措置を取っているのはなぜですか?)
感染者数が下がってきたことは良いことですが、次に来ることは構えなければいけません。今の状態が100%我慢しているとすると、それを一気にはねるのではなく、段々と絞っていく目安として、目安としての1カ月です。

(Q.いきなりの宣言解除ではなく、まん延防止等重点措置をしてからという意見は専門家の間で出ませんでしたか?)
もちろん議論はあった。何もやらなくていいだろうという説や、解除なしという考えもあるなかで、問題はまん延防止措置で段階的にするのか。まん延防止措置がなくても段階的にできるなら、法律を使わなくて良いわけです。一方で法律のカバーがあると、国としてお金が出やすいとか、そういった所のバランスだと思います。最終的に私が聞いているのは、国も補助金を出します、様子を見ながら段階的にやっていく。私もその方が良いだろうと思います。

(Q.まん延防止措置の方が国民にメッセージが届きやすいとは考えませんでしたか?)
それはどっちもどっちです。心配なのは、全部解除で“良かったバンザイ”という思いになってしまうと行き過ぎです。良かったけれど、様子を見ながらやりましょうというメッセージを尾身会長や菅総理も会見で話していました。でも、緊張感がずっと続くのは大変なことなので、やれることをやる。

(Q.入院率や療養者数が各地で違っていても一斉に解除となったのはなぜですか?)
解除は一斉ですが、内容については、それぞれの自治体によって変わります。数字だけではなく、自治体の実情や病院の混雑具合、ワクチンの接種率などを含めて、総合的な判断が場所によって変えることができます。私の考えで言えば、数字は目安としてやりやすいですが、一番肝心なのは医療関係者が「そろそろ大丈夫」と言ってくれることが一番ありがたいです。

(Q.ワクチンの接種証明書を活用して制限緩和をする実証実験も来月から行われますが、こうした仕組みは、今後、どこまで活用されていきますか?)
ワクチン打った人がメリットを感じる仕組みが必要です。しかし、そういったことを法律で一律に決めてしまうと、接種していない人が何もできなくなります。ワクチンを接種したくない人や、したくてもできない人もいるなかで、全部一律と急ぐ必要はないと思います。

(Q.岡部所長は、内閣官房参与として、菅総理に直接アドバイスされてきました。政治家と専門家の間には、危機意識のギャップがあったようにも思えますが、どう感じていましたか?)
全員が一致して危機感を持った時はパニックになると思います。感染症の専門家は、感染症を何とかしようと考えますが、そこには経済や国際的な問題などは外して、狭い考えになると思います。経済や社会学の方の意見もいるし、それを総合してやっていくのが政治です。政治と専門家の危機感がずれます。また、一般の人の危機感が全然違うところにあります。一般の人が危機感を持った時はパニックですから、そこまでいかないようにして、注意力を増やしていきたい。

(Q.「第6波は必ず来る」という専門家の声もあるが、どうやって迎え、乗り越えるべきだと思いますか?)
第6波が必ず来るかは分かりませんが、来た時にどうするか考えることが重要です。今まで作り上げたものやノウハウを総合的に使うことができれば、今と同じ状態で危ないということにはならないと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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