コロナ禍の苦境にある江戸切子を手掛ける創業97年の老舗が、30年ぶりの新卒採用に踏み切りました。社長の心を動かした言葉とは。
清水硝子3代目・清水三千代さん:「こういう時期だからこそ逆に真面目に取り組む人に巡りあえる機会が多い」
老舗のガラス工房がコロナ禍にもかかわらず、30年ぶりに新卒の新入社員を採用しました。
こちらは創業して97年になる「清水硝子」。180年以上の歴史を持つ“江戸切子”を手掛けています。
今年、入社した矢野瑞希さん(20)です。
30年ぶりの新卒社員・矢野瑞希さん:「元々は陶芸とかを志していたが、江戸切子を見て『どうしてもこれがやりたい』と思った」
愛媛県から上京し、ガラス工芸の専門学校で学んだ矢野さん。先生がこの工房に掛け合ってくれました。
ところがこの工房、伝統工芸の見学者こそ受け入れてきましたが、厳しい経営が続き、新卒の採用を30年間も見送ってきたのです。一体なぜ、雇用に踏み切ったのでしょうか。
清水硝子3代目・清水三千代さん:「とても前向きな気持ちで、仕事に取り組んでいきたい気持ちが大きかった」
何より社長の心を動かしたのは、矢野さんの江戸切子に対する情熱でした。
30年ぶりの新卒社員・矢野瑞希さん:「本当に心からきれいだなと思った。このキレイなものを自分で作りたいなと強く思った」
コロナ禍で工房の売り上げは、ほぼ半減。最も苦しい時期だからこそ、矢野さんとの縁を希望の光と捉えました。
清水硝子3代目・清水三千代さん:「なかなか、厳しい時期ではあるが、人も育てていかないと、企業の存続も難しくなる。彼女ならいけるかなと思いました」
現在この工房では、上は70代まで6人の従業員が江戸切子を手掛けています。30年ぶりの新卒採用は、職場の雰囲気を変えました。
職人歴53年・山下正則さん(68):「仕事を終わっても練習している。やっぱり覚えたいという気持ちがある」
とはいえ、手元が狂えば商品がだめになるシビアな世界。
30年ぶりの新卒社員・矢野瑞希さん:「数ミリずれただけで、全体の雰囲気が違って見える。集中力を継続するのはとても難しい」
休憩時間はぐったりしていました。30年ぶりに採用された新卒の新入社員は、老舗ガラス工房の未来を担っています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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