感染の拡大で東京消防庁管内では先週、救急要請した約6割が搬送できないという事態が起きています。そうしたなか、救急隊員の負担を減らそうと奮闘する民間救急を取材しました。

 コロナ患者を病院へ救急搬送中、保健所から新たな出動要請が。搬送を終えると、車内を丁寧に消毒。そして、新しい防護服に着替え、急いで次の現場へ。

 パル移送サービス・餅田昌宏さん(23):「つらくても(自宅で)療養しなければいけない患者さんが増えてきていて、先日も2日間、入院先が決まらなくて、でも息苦しさがひどい患者さんを搬送したこともある」

 彼らは消防庁の認定を受け、患者を有料で搬送する「民間救急」。現在、消防救急が逼迫(ひっぱく)しているため、保健所の要請で「重症化する危険がある」自宅療養中の患者を病院へ搬送しています。

 この患者は、感染経路が分からないという都内に住む50代の男性。自覚症状がなく、自宅療養中でしたが、血中酸素飽和度が90%以下になり、保健所の判断で急きょ病院へ。感染対策には十分、気を付けていたという男性。しかし、長引く緊急事態宣言で「気の緩みがあった」といいます。

 新型コロナに感染・50代男性:「まさか自分がって感じ。人間ってバカだから『自分だけは平気だ』って思っているところがある。友達や皆に言ってあげたいです。『(感染したら)大変だよ』って」

 男性は、症状がさらに悪化する前に、保健所が手配した病院に入院することができました。

 民間救急(救急救命士)・餅田昌宏さん:「第5波、デルタ株が流行しているのもあると思うが、4月・5月に比べて症状の重い患者さんが増えてきたなという印象です」

 妻と息子に付き添われて都内の自宅マンションから出てきたのは、ワクチン接種後に感染するいわゆる「ブレイクスルー感染」した90代の男性。6月にワクチンを2回接種したという男性。しかし、2日前から38.5度の高熱が続いたためPCR検査を受けたところ、陽性と判明したのです。男性は、妻と長男の3人暮らし。1週間前に感染が判明し、自宅療養中の長男から家庭内感染したといいます。心配して駆け付けた三男によりますと・・・。

 90代男性の三男:「高齢なので、色んな病気を過去にしているし、薬もたくさん飲んでいるから、抵抗力がないのかもしれない」

 出発して25分、病院に到着。しかし、コロナ患者の対応に追われ、すぐには受け入れられないというのです。逼迫(ひっぱく)する医療現場の厳しい現状がここにも。激しい吐き気に耐えながら、車内で待つこと約30分。

 猛威を振るうデルタ株。患者の症状にもある変化が。

 民間救急(救急救命士)・餅田昌宏さん:「以前は、せきや呼吸が苦しいという人が多かったが、最近は、おなかが痛いとか吐き気があるとか、なかには(車内で)吐いてしまう人もいるくらい」

 次の患者は、一人暮らしの20代の女性。39度の高熱が続くなか、1週間以上、保健所の指示で自宅療養をしていたといいます。女性は、前日から容体が悪化。血中酸素飽和度が95%を下回ったため「重症化する危険がある」と保健所が判断。急きょ、入院することに。

 新型コロナに感染・20代女性:「基礎疾患もないので、そもそも(保健所が)『自宅療養して下さい』と。全然、入院とはならなくて」

 今月、この民間救急が搬送したコロナ患者は約300人。去年の同じ月は約50人、第5波でその数は6倍にも。民間救急の過酷な夏は続きます。

 パル移送サービス・餅田昌宏さん:「救急医療の逼迫がもっと進んでいくと思っているので、こちらもより気を引き締めて。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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