新型コロナの重症者数は、短期間で急増していて、27日は全国で2000人と過去最多を更新しました。

重症者数が増加の一途をたどるなか、医療の現場は今、どうなっているのでしょうか。

感染症が専門の、大阪大学医学部・忽那賢志教授に話を聞きます。

(Q.現在の状況をどのように受け止めていますか?)
忽那賢志教授:「高齢者のワクチン接種が進み、全体の重症化率は低くなっていますが、感染者数が大幅に増えているので、重症者も増えている状況です。特に、これまであまり重症化していなかった、40~50代の重症者が増えています」

1都3県の重症者用の病床使用率は、国の基準で東京は96%、埼玉が94%、神奈川は100%となっています。

(Q.かなりひっ迫しているように感じますが、どう見ていますか?)

忽那賢志教授:「すでに過去最大の重症者数になっていますが、重症者数は通常、遅れて増えてきます。首都圏はまだ、非常に多い感染者数が続いているので、今後、もっと増えてくることが懸念されます」

大阪の重症者用の病床使用率は42%と、50%に満たない数字となっています。

(Q.大阪は、なぜこれほど少ないのでしょうか?)

忽那賢志教授:「大阪は第4波で大きなダメージがあったので、それ以降、重症者の病床を大幅に拡大していて、今では東京よりも確保病床数が多くなっています。ただ、これは災害規模の事態で重症者が増えた場合を想定しての確保病床なので、見た目上、数値はまだ余裕があるように見えますが、全ての重症病床が空いているわけではなく、重症者数に応じてコロナ用に病床を変えないといけません。そうした調整・対応が必要になります」

(Q.大阪大学医学部附属病院は、現在どのような状況ですか?)

忽那賢志教授:「今のところ、大阪大学医学部附属病院は、コロナ病床14床のうち、11床が埋まっています。大阪府の定めているフェーズでは、患者数に応じて最大で24床まで増やすことになっています」

(Q.病床を増やすことで、通常の医療に影響は出ませんか?)

忽那賢志教授:「大阪大学医学部附属病院の場合は大学病院ですので、高度な医療を提供することが本来の役割です。そうした機能をある程度縮小しないと、現在の感染拡大には対応できません。人手が足りなくなって、他の診療科の先生方に、コロナの病床の手伝いに来てもらっています。その分、普段の診療に手が回らなくなる部分が出てきます。移植手術など、ICU(集中治療室)管理が必要な人が、病床が埋まっているため、一般病棟で診ないといけないなど、コロナ以外の患者にも影響が出ています」

一日ごとの全国の死亡者数は、重症者数とは違い、第3波・第4波よりも少なくなっています。

(Q.この理由はどこにあると思いますか?)

忽那賢志教授:「高齢者のワクチン接種率が高くなったので、高齢者の重症者が減りました。40~50代の重症者は増えていますが、亡くなる方は少ないです。ただ、感染者数が非常に多く、基礎疾患のない20代でも重症化する人が出ています。若い人は今のところ、ICUに入っても、亡くなる人が少ないです」

(Q.亡くなる人や重症者を減らすためには、どんなことが必要になりますか?)

忽那賢志教授:「今すぐではありませんが、長期的にはワクチン接種を進めていくしかありません。特に医療現場のひっ迫を防いでいくためには、今、重症者の多い40~50代の人が接種していくことが大事です。爆発的に感染者が増えている今の状況に対しては、人流を減らすことしか解決はないと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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