新型コロナウイルスの重症化を防ぐ“切り札”として期待されている抗体カクテル療法。「投与室」を設置した大阪では26日から運用が始まっています。

 “明かり”は見えてきたのでしょうか。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「コロナとの付き合いが確実に変わる可能性がある」

 切り札と期待されるカクテル療法。課題も見えてきました。

 都内の感染状況を分析するモニタリング会議。

 新規感染者数は減ってピークは越えたようにも見えますが、医療提供体制は依然、厳しい状況を示しています。

 国立国際医療研究センター・大曲貴夫医師:「医療の提供体制は深刻な機能不全に陥っている。ここ1週間の新規陽性者数は横ばいにみえるが、このような高い数値が継続するだけでも状況は悪化する」

 政府分科会の尾身茂会長は、いわゆる“野戦病院”の必要性も訴えます。

 政府分科会・尾身茂会長:「もう少し臨時の医療施設的なものを作らないと今の状況には対応できない」

 その“病床逼迫(ひっぱく)”打開の切り札となるのでしょうか。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「外来で投与できるようになれば、こんな素晴らしいことはない」

 厚生労働省は軽症・中等症向けの点滴薬「抗体カクテル療法」について外来の患者にも条件付きで投与を認めると、都道府県に通知しました。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「8月11日から始めて70人治療を受けた」

 愛知県にある藤田医科大学病院では自宅療養者ら70人に抗体カクテル療法を始め、すでにその効果が表れていました。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「海外では死亡や重症化が7割減らせる研究結果に基づいて使っている。実際投与した人で重症化した人はいない」

 現在は重症化リスクのある自宅療養者らに病院で点滴を行い、1泊入院させて翌日、自宅に戻ってもらうケースが多いといいます。

 入院させることなく外来で可能となれば、治療のスピードアップを図ることができ、大きく局面を変えることができると期待を寄せます。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「陽性だったらすぐに地域で抗体カクテル療法を受けましょう。これができることで1週間後の入院病床が守られる。ウィズコロナを考えていけるフェーズが来るかも」

 大阪では宿泊療養者を対象に「抗体カクテル投与室」の運用が始まりました。

 大阪府・吉村知事:「重症化を防ぐ軽症時点で投与する唯一の薬が、この抗体カクテルになります。この抗体カクテルをできるだけ早い段階で軽症のうちにハイリスクの人に投与することで重症化を一人でも多く防いでいく。これを実現したい」

 課題も見えてきました。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「PCR検査の場合、結果が分かるのが翌日、翌々日だと(発症から)5日経っている。時間的な猶予は残されていない」

 抗体カクテル療法は発症から7日以内に治療する必要があります。

 発症して翌日に検査。その結果が翌々日に分かった場合、残り3日間で医療機関を探し、治療を受けなければいけません。

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「体調が悪いと思ったらすぐにPCR検査もしくは抗原検査を受けてもらう。各工程を縮める努力をしないといけない」

 薬剤の在庫量も危惧されます。

 社民党・福島瑞穂党首:「現場からは抗体カクテルが不足して来ていない、逼迫しているという声がある」

 厚労省の担当者:「具体的な確保量については相手方企業との間で秘密保持契約の義務もあるため答えは差し控えるが、投与対象となる患者数の見込みに対応できる量の確保を図っている」

 藤田医科大学病院・岩田充永副院長:「ワクチンの時に接種が加速してきたら突然供給が途絶えた苦い経験をしている。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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