政府の新たな方針で感染者数は減らしていけるのでしょうか。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授に聞きます。
東京都が25日に確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は4228人でした。先週の水曜日よりも1000人以上減少しています。また、7日間平均でも6月以降、初めて減少に転じました。
(Q.この傾向をどう見ますか)
ピークを超えたような感じに見えますが、人流が明らかに減ったとか、感染症を減らす要因が認められているわけではありませんので、この状況だけで順調に減っていくのか、ピークアウトしたのか判断するのは、もう少し様子を見る必要があると思います。
25日の厚生労働省アドバイザリーボードで出された国立感染症研究所による今後のシミュレーションですが、東京都は減少傾向に見えます。ただ、全国を見ますと、北海道・大阪府・愛知県ともまだ上昇傾向です
(Q.これは、どう見ればいいのでしょうか)
東京は、最初に感染が深刻な状況になって、夏休みに入って、人の流れが起こって、地方に移っていったと思います。それが、それぞれの地域の感染拡大の要因になっていると思います。東京から人が外に出て、地域の感染が広がっていった。いま、見ている数字は、2週間前の状況が反映されていますので、東京の数字が少なくなったとしても、それ以外の地域は、まだ、しばらく増えていく可能性が高いと思います。東京も本当に減っているかどうかは断言できません。
政府の基本的対処方針が改訂されました。主なものとしては、小中学校・幼稚園に抗原検査キット80万回分を配布、教職員へのワクチン接種、入院待機・酸素ステーションの整備、抗体カクテル療法を外来でも投与することなどです。
(Q.抗原検査を小中学校で進めることについては、どう思いますか)
検査を積極的にやっていくことによって、感染対策に取り組もうという考え方自体は、間違いではありませんが、検査キットを配っただけで問題が解決するわけではありません。正しい使い方をしたうえで、どういう人に、どういうタイミングで検査をしていくのか。もし、陽性になった場合、どのような対応をするのかまできちんと決める。そこは、きめ細かな対応が必要だと思います。
学校再開に関して、アドバイザリーボードで資料が示されました。西浦教授のシミュレーションでは、感染者の多くを占めるのは25歳~50代の世代で、今後もゆるやかに増えていく予測です。60歳以上、18歳以下の小中高校生、19~24歳の大学生を中心とする世代は横ばいになっています。これが、今後、学校を再開した場合、大学生中心の世代が急増します。その影響を受けて、他の世代も上昇する予測です。
(Q.これはどう見ますか)
学校が再開されれば、多くの人たちがそこに集まります。それが新たな感染が広がる場になると思います。若い人たちの感染が増え、それを家庭内に持ち込むと家庭内感染が起き、親の世代にも感染が広がっていきます。学生たちだけの感染では収まらず、広い感染していくと思います。
(Q.家庭内感染は、実際に診察の現場でも実感してますか)
きのう、きょう、外来をやりましたが、きのうは一家6人が感染。きょうは一家4人、全員が感染と。家庭内感染の、そういう例がひっきりなしに起こっています。きょう、5割くらいの患者が陽性でした。感染が収まっているとは思いませんし、まだ深刻な状況が続いていると思います。
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