新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中だった出産間近の妊婦が、入院先が見つからないまま自宅で出産し、その後、赤ちゃんが亡くなっていたことが分かりました。

■「腹部の張り」訴えも・・・入院の調整つかず

 妊婦だからという理由で、入院しやすくなる状況ではありません。

 柏市の会見:「新型コロナ感染症に関連して、赤ちゃんが亡くなるという事案が発生しました。ご遺族の方には、心よりお悔やみを申し上げます」

 出産間近に感染し、自宅療養していた妊婦が、受け入れ先の病院が見つからず、やむなく自宅で出産。その赤ちゃんが、亡くなったことが分かりました。

 千葉県柏市で暮らす、妊娠29週の30代女性が感染していると分かったのは、今月11日のことです。その時は「軽症」と診断され、自宅療養となりました。

 3日後には、「中等症相当」と診断されましたが、入院先は見つかりません。状況が変化したのは、さらに3日後の17日です。

 女性は保健所に対し、「腹部の張りがある」「出血がある」「陣痛ではないか」と訴えましたが、それでも入院調整はつきません。

 結局、女性は男の子を自宅で早産しましたが、救急隊員が駆け付けた時には、すでに心肺停止。赤ちゃんは救急搬送された病院で、死亡が確認されました。

 柏市の会見:「保健所としても最大限、調整しているが、なかなか決まらず。今回、非常に不幸な事態になった」

■“妊婦受け入れ”スムーズに進まない事情

 今回のようなケースが、二度と起きないという保証はありません。

 妊娠31週目の女性は、入院まで1週間かかりました。

 都内在住・妊婦31週目(21):「私も8カ月なので、ちょっと違ったら、私だったかもしれないと思うと、本当につらい。自分のことみたいに苦しくなります」

 新型コロナに感染した妊婦の受け入れが、スムーズに進まない事情について、柏市は・・・。

 柏市の会見:「コロナの感染症を診ることができて、なおかつ産科もできる先生・医療機関は限られる」

■産婦人科医「東京でも十分に起こり得る」

 特に、今回のようなケースに対応できる病院は、ごく一部にすぎません。

 都内で、産婦人科クリニックを運営する杉山力一医師は、「もはや医療崩壊の只中にある」と訴えます。

 杉山産婦人科・杉山力一医師:「正直、東京でも十分に起こり得ること。コロナ陽性の方を、普通の産婦人科には受け入れられない。一人いると皆さんに感染してしまうので。これが、医療崩壊なんですね。医療崩壊というのは、別にコロナのベッドが足りないんじゃなくて、一般の診療ができなくなっちゃうんです」

■“救急搬送”要請も・・・6割が治療受けられず

 災害レベルの危機的状況は、出産の現場だけではありません。

 東京都では、自宅などでコロナの症状が悪化し、救急搬送を要請したにもかかわらず、病院に搬送されなかったケースが、今月初めの1週間だけで、959件に上っています。

 コロナ感染者の救急搬送のうち、6割もの患者が病院での治療を受けられなかったのです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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