東京オリンピックの新競技、6日に行われたスポーツクライミングの女子複合決勝は24歳の野中生萌選手が銀メダル、このオリンピックで現役を引退する32歳の野口啓代選手が銅メダルと、日本女子のダブルエースがそろって表彰台にあがりました。快挙を遂げた要因は、それぞれの「得意種目」で最後まで諦めない登りを貫いたことでした。

野中選手は、最初のスピードと2種目めのボルダリングを得意とし、前半逃げ切りの戦略を立てていました。しかし、そのボルダリングで、3つの課題のうち第2課題を終えた時点で8人中6位と苦しい状況に立たされます。
ここで野中選手は「最後は、気持ち。諦めずにやりきろう」と、あとのない第3課題で順位を大きく左右する「ゾーン」と呼ばれる一定の高度に1回目のトライで到達し、ボルダリングの順位を3位に上げて、銀メダルを引き寄せました。
野口選手は、ボルダリングとリードに強く、後半に巻き返すシナリオが理想でしたが、ボルダリングで4位と順位を伸ばせず、2種目を終えた時点で6位でした。この時の心境を野口選手は「かなりきつかった。メダルは厳しいだろうと思った」と、心が折れかけていたことを明かしました。
しかし「皆さんに見せる競技生活の最後の登り。結果よりも、諦めずにいい登りをしよう」と一手一手を粘り強く進め、逆転での銅メダルにつなげました。
表彰式後の取材中、常に向上心を忘れない野口選手らしい場面がありました。

野口選手
「この5年間、オリンピックを引退試合にしようと思いながらずっとやってきたので、報われた気持ち」
「きょうの登りには全然納得いっていない。本当に自分は引退するのかな、と思うくらい、ボルダリングの改善点や、リードでもっと練習すべきだったとかを考えてしまう」
野中選手は長年、背中を追い、ライバルでもあった8歳上の先輩の引退を惜しみました。

野中選手
「啓代ちゃんは『本当に終わり?』という感じ。なんだかんだいって、次の大会にも出てくるんじゃないかと思ってしまう」
「ずっと2人でクライミング界の先頭に立ってきて、この2人でメダルを取ったことは大きな意味がある。これからは私が啓代ちゃんの今いるポジションを引き継いでいきたい」
2人の活躍によりスポーツクライミングの魅力を伝えられたことに手応えを感じながら、第一人者からのバトンをしっかりと受け取りました。

引用:NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210807/k10013186881000.html?utm_int=news-sports_contents_list-items_018

WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version