政府は2日、新型コロナの感染が拡大している地域について、重症者と重症化リスクが高い人に限り、入院、それ以外は、自宅療養を基本とする方針を打ち出しました。

“入院制限”とも指摘されるこの方針転換をめぐり、野党だけではなく、与党・自民党からも撤回を求める声が上がる異例の事態となっています。

立憲民主党・長妻昭衆院議員:「入院すべき方が入院できないという状況、今起こってしまった。責任者である厚労大臣が、まずは謝罪をして説明しなかったらどうするんですか。多くのお医者さんと意見交換すると、中等症で自宅療養はまず無理だと」

田村憲久厚労大臣:「デルタ株、我々は大変な脅威だと思っています。ホテル病床を確保しても追い付かない。要はスピード感の問題を申し上げている話でありますので、平時ではないということをどうかご理解頂きたい」

公明党・高木美智代衆院議員:「酸素吸入が必要な中等症患者を自宅でみることはあり得ないと言いたい。宿泊療養でも酸素吸入は認めないとしてきたではありませんか。撤回も含めて検討し直して頂きたい」

田村憲久厚労大臣:「まず前提に、中等症にも色んな方がおられますので、呼吸管理されている方が入院しない、自宅に戻すということはあり得ないと。医療現場も十分に認識していると思いますし、きのう医療関係者との会談でも申し上げました。一定程度、ベッドに余裕がないと、急きょ搬送できないので、重症化リスクが比較的低い人を在宅で、先手先手で打ち出している」

この件について、政府分科会の尾身会長には“相談”すらなかったといいます。

立憲民主党・早稲田夕季衆院議員:「方針転換する前に、政府が分科会、尾身会長にはご意見を聞かれましたか」

政府分科会・尾身茂会長:「政府とは毎日のように色々、相談・連絡・協議していますが、この件は特に相談というか議論したことはありません」

立憲民主党・早稲田夕季衆院議員:「相談しないのはどういうことでしょうか。誰が決めたんでしょうか」

田村憲久厚労大臣:「これは政府で決めました。病床のオペレーションの話なので、これに関しては政府で決めさせて頂いている」

立憲民主党は4日午後、中等症患者も原則入院とする、従来の方針を維持するよう、田村大臣に要望書を手渡しました。

立憲民主党・長妻昭衆院議員:「専門家の吟味がない形で独り歩きして、非常に現場は困惑している。そういう状況を受けての提言」

自民党内からも、批判の声が上がっています。

自民党コロナ対策本部などの合同会議:「党に事前の相談がなかったという不満や誤ったメッセージになって、このままでは国民に不安を与えてしまうと懸念する声が相次いだ。会議のなかで、党として厚労省に対して撤回を求めた」

党内からも“撤回要求”がされるなか、菅総理が4日午後7時過ぎ、取材に応じました。

菅義偉総理:「(Q.自民党内からも撤回の要求。受け止めは?)現在のデルタ株による急速な感染拡大のなかで、国民の命と健康を守る。そのための措置として、必要な医療を受けられるようにする。そのために方針を決定した。(Q.今のところ、撤回の考えはない?)撤回ということではなく、しっかり説明するようにということであります。いずれにしろ、今回の措置は、必要な医療を受けられるようにする措置。そうしたことを丁寧に説明して、理解をしてもらうということです。(Q.国会で尾身会長が『事前に相談がなかった』というお答えがありましたが、これも適切な対応だったのか?)最後は専門知識を持つ医師に判断してもらうのが一番大事なこと。私はそのように思っています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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