20日、東京オリンピック・パラリンピックの海外客の受け入れを断念することが、正式に決まりました。チケットの購入者からは、落胆の声が上がっています。
海外からの客の受け入れ断念は20日、政府や東京都、国際オリンピック委員会など、5者の会談で正式に決まりました。
大会組織委員会によりますと、海外在住者向けの一般チケットは63万枚で、今後、払い戻しなどの手続きが行われます。
■チケット購入した海外客は「日本政府にも失望」
ロサンゼルス在住のアメリカ人、ジョナサン・フィッシュさんは、約15の競技で、合わせて40万円分のチケットを購入したといいます。
フィッシュさんは「アメリカのチケット代理店を通して、日本円で約40万円分のチケットを買いました。そのうち30%が代理店への手数料なんですが、問題は、手数料が返金されない可能性が高いことです。通常、彼らは返金してくれませんね。30%ですから。12万円ほどの損害です」と話します。
まだ手数料が返金されないと決まったわけではありませんが、フィッシュさんは半ば諦めています。
フィッシュさんは「今回、日本政府にも失望しました。ワクチンの接種が、他の多くの国と比較すると、遅いですよね。もっと早く実施されていたら、もう少し自信をもって外国からの観客を入れて、オリンピックを開催できたと思うんですがね」と話していました。
■海外客断念で菅政権狙った“インバウンド”も・・・
菅政権は当初、海外からの観客を受け入れ、新型コロナで激減したインバウンド消費を回復させる、きっかけにする考えでした。
しかし、海外客の断念によって、2000億円規模のインバウンド消費が吹き飛ぶという試算もあります。
実際、先ほどのフィッシュさんは、5週間の日本滞在で、宿泊費として約55万円を支払う予定でしたが、すべてキャンセルしました。
■ホテルも海外客“9割”予約キャンセルで頭抱える
宿泊業界も深刻な打撃を受けることは避けられません。
年間100の国と地域から客を受け入れる、都内の「サクラホテル池袋」は、すでに海外客の9割から予約のキャンセルがあったといいます。
サクラホテル池袋の木村直美さんは「当館103室あるんですが、(予約は)満室状態でした。オリンピック期間はすべて満室で、その前後もいっぱいだったんですけど、残念ながら、全く(ダメ)になってしまいました」と話します。
海外からの客を見込んで、アメリカドルやユーロ、タイのバーツなど、12通貨に対応した外貨両替機を設置したり、外国人専用メニューを考案するなど、時間と金をかけ、準備を進めてきました。
木村さんは「去年仕切り直しで、今年は頑張るぞっていう考えで、いろいろ準備もしてきたんですけど。少しは予感はしてましたけどね。でも、やっぱりダメなんだって。何とかそこをって思っていたんですけど、やっぱりダメなんだっていう」と話していました。
オリンピックが終わっても、以前のように訪日外国人客が戻る兆しもなく、ホテルは頭を抱えていました。
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