時事日本 2021/05/17 体操 橋本大輝 “夢のまた夢”を現実に そして夢の先へ
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東京オリンピックの代表選考を兼ねた体操のNHK杯。男子は19歳の橋本大輝選手が初優勝を果たし東京オリンピックの代表に内定し、「オリンピックはテレビで見ていた夢で、いま現実となったがまだ実感がわかない」と話しました。 5年前のリオデジャネイロオリンピックの男子団体決勝。日本が金メダルを獲得した瞬間をテレビで見ていた中学3年生の橋本選手は、その舞台を遠くの世界の出来事だと感じていました。 その後、高校時代にメキメキと実力を伸ばし、高校2年生の頃に練習場で日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長と出会いました。 そこでその年の目標を問われた橋本選手は高校生の大会で優勝することと話すと、水鳥強化本部長から「そうじゃない、 世界選手権の代表を目指しなさい」と返されたと言います。この言葉をきっかけに橋本選手の中に代表を目指す気持ちが生まれ、成長のスピードが加速していきます。おととし、3年生の時には全日本選手権で上位に入り、世界選手権代表に選ばれ、 “夢のまた夢”だったはずの東京オリンピック出場が現実味を帯びていきました。「ここまで来たら出場を目指すだけじゃダメだ。日本のエースとして東京オリンピックで金メダルを取る」. 夢を目標に変えた後は、類いまれな空中感覚と圧倒的な練習量でひたすらに成長を目指しました。 ゆかでG難度の「リ・ジョンソン」、跳馬は世界最高難度の「ヨネクラ」、鉄棒でも、G難度の「カッシーナ」。大学入学後には難しい技を次々と習得し、6種目の演技の難度は、世界でもトップクラスになりました。 4月の全日本選手権で優勝して迎えた勝負のNHK杯。2種目めのあん馬は全日本選手権で落下するミスがあった種目ですが、ここを乗り切って勢いに乗りました。4種目め、得意の跳馬は「ヨネクラ」を予定していました。 しかし跳躍の最中にこの技をやりきることを「無理だ」と判断し、ひねりの回数を減らした技に切り替えました。 瞬時の判断力、そして演技の途中で技を変更する驚異的な力を見せて着地をまとめ、15点台の高得点をあげました。 代表争いの重圧の中、これまでになく落ち着いた演技を見せ、精神面での成長を感じさせた橋本選手。NHK杯の後「満足のいく演技ではなかった。怖くて緊張もあった。でも、その中で通し切れたのは、大きな経験になる。日本のエースとして、 団体も個人も金メダルをとりたい」と意気込みました。あどけなさも残る19歳。「夢のまた夢」を現実に変え、さらに大きな“夢の先”へ歩みを進めます。
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