
サル被害対策を国際的な視点から話す台湾の高さん、蘇さんと、活動発表を行う獣がい対策支援員の木下さん、草間さん(左から)=兵庫県丹波篠山市黒岡で
兵庫県丹波篠山市は、鳥獣被害を“マイナスからプラスへ”転じ、地域活性化にもつなげる住民主体の獣害対策を一層推進していこうと、「獣がいフォーラム」を市民センターで開いた。8回目の今回は、丹波篠山国際博事業と連携し、「サル被害対策の国際的な展開」をテーマに、台湾からタイワンザル対策に取り組む2人の専門家を招いた。市内外から約70人が参加。ニホンザルとタイワンザルの被害対策の現状や課題について報告と意見交換などが行われた。
台湾からは、同国の東海大学生態環境研究センターの高明脩(カオ・ミンショウ)研究員と、国立屏東科学大学野生動物保全研究所の蘇秀慧(スー・ショウホエ)准教授が登壇した。
蘇准教授は、田んぼを荒らすサルの行動パターンを詳細に分析した研究を紹介。侵入する時間帯や稲穂を食べるのに要する時間、群れの性比、年齢構成などを示し、「行動を理解することが予防管理に直結する」と述べた。こうしたデータに基づき防御や追い払いを行うことで、田んぼに侵入するサルの数を減らせた実績を報告し、AI(人工知能)やIoT(物にインターネットを接続する技術)を活用した予防制御システムの設置場所も、サルの活動データに基づいて選定すべきだと指摘した。実際に出没を検知して追い払いに成功した事例を挙げ、「人とサルの衝突を緩和し、持続的に共存できる状況を実現したい」と語った。
また、2024・25年度の獣がい対策支援員の草間大和さん(丹波篠山市西紀北地区担当)と木下麗子さん(同市畑地区担当)が任期中の総括を発表。地域と協働して確実な手法で被害を減らし、その取り組みを通じて地域を元気にしていく視点の重要性を強調し、「自分たちの農地は自分たちで守るという住民主体の意識が欠かせない」と訴えた。
草間さんは、栗の被害が大きい西紀北地区で、LINEを使ったサル情報共有の仕組みを整備し、地区全体のサルの動きを“見える化”したことを紹介。さらに、同地区の4集落から2人ずつ選出して監視組織を結成し、追い払い中心から監視中心へと役割を転換。追い払いは被害農家が主体的に行う体制づくりを進めてきた。「現場での対話と信頼関係づくり、4集落の横のつながりを重視した。個人では限界がある。地域が一体となることで効果と持続性が生まれる」と述べた。

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