LINEは23日、利用者の個人情報が中国企業からアクセスできる状態だった問題を受け、会見を開きました。

出澤剛社長は会見で謝罪したうえで、中国からのアクセスを禁止にするなどの対応策を発表しました。

出澤剛社長:「まず2つの国内化。中国からの完全アクセス遮断、そしてLINEに関わるものは業務終了していきます。トークデータ、動画も含めて完全国内移転をします。2つの透明性強化ということで、ユーザー向けのプライバシーポリシーの改定をします。世の中の情勢の変化で、我々が見落としてきたことが多かったと非常に反省をしております」

ただ、ここで新たに明らかになった問題もあります。

『LINEドクター』のような対話機能を使ったオンライン診療や健康相談のサービスでも、画像データが韓国サーバーで保存されていました。そのなかには、登録時に使われた保険証の画像データも含まれていたといいます。

出澤剛社長:「韓国に大きい画像用のクラウドサーバーがあるんですけど、そこにアクセスできるエンジニアは非常に限られています。権限管理も適正にされています。実際にアクセスする作業は、障害が起きた時とか緊急時になるので、現実的にはほとんどない」

LINEの情報管理をめぐっては、大きく2つの問題が指摘されています。

1つは、画像や動画の一部が韓国のサーバーに保存されていることを利用者に十分説明していなかったことです。

電話番号や実際のメッセージの内容などは日本のサーバーに保存されていますが、保険証の例のように極めてプライバシー性の高い画像が紛れ込む可能性は否定できません。さらに、キャッシュレス決済サービス、『LINE Pay』で行った取引の情報も韓国サーバーで保存されていました。

そして2つ目は、中国のLINE子会社が日本および韓国、両方のサーバーにある個人情報を閲覧可能だったという点です。

日本におけるLINE利用者は約8600万人。情報発信ツールとして利用する自治体は約900に上り、インフラの1つとして定着してきたところでした。そのため、今回の件における影響は広範囲に及んでいます。

政府は、LINEで行ってきた入国者への健康観察を一時停止。内閣府防災の公式アカウントによる情報提供も停止されました。

自治体も対応に追われています。

大阪市は、LINEを使った情報発信事業、約60件を一時停止しました。なかでも、児童からのいじめ相談窓口は、月に100件以上の相談が寄せられたこともあったといいます。

LINEがあったからこそ届いた声もあります。

NPO法人『東京メンタルヘルス・スクエア』は、自殺を考える人々からの相談をSNSで受けてきました。

『東京メンタルヘルス・スクエア』カウンセリングセンター長・新行内勝善氏:「ざっくり言って(相談の)8割くらいはLINEであった。それまでは(一日あたり)200~250件くらい来ていたが、22日は150件を下回っちゃいました。SNSというのは、声を出さずに相談できるんですよね。ボリュームゼロで相談できる」

自殺を考えるほど追い込まれた人たちにとって、誰かに相談するということは、簡単なことではありません。“言葉にはしづらいことでも、LINEでなら・・・”そうして活用されてきた悩み相談ですが、今回の件を受け、このNPOを含む3つの団体がLINEでの活動の一時停止を余儀なくされました。

新行内勝善氏:「Twitterを使っていない人もいて、そういった方は吐き出し口というか、相談、話を聞いてもらう、あるいは一緒に相談して考えていくということが、大事な手段が閉ざされてしまうというのは非常に懸念。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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